年金の支給額が前回に比べて7502円アップ…それでも家賃の支払いが追いつかない大藪春彦賞作家が「向かう先」【「鶯谷」第二十八話#1】
---------- 貧困にあえぐ老作家の日常に訪れた年金支給日。これで生活は立て直せるのか。同時進行リアルドキュメントが幕を開ける。 ---------- 【写真】「その格好で読書...?」スペインの超有名女優クララ・ガレの「休日の姿」
年金額が増えた
6月14日金曜日。 待ちに待った年金が支給された。 本来年金の支給日は偶数月の15日なのであるが、15日が銀行休業日の場合は、前倒しになる。 支給額は272,885円だった。 (おや? ) と、首を傾げた。 年金は私にとって生活の根源になる金なので、金額は1円単位で把握している。4月15日の支給額は265,383円だった。 いつもより7,502円も多めだ。 どうやら政府の方針により増額されたらしいが、どんな方針だったのか、そしてこれからもその金額が続くのか、知らない。 知る必要も感じない。 今の私にとって大切なことは、目先の金なのだ。 とりあえず団地の家賃管理をしている会社に振り込んだ。 累積の滞納額が3か月を超えると退去を命じられるのだが、これでまた1か月分の滞納額累積が減ったので、退去をまぬがれた。
団地からの脅し文句
(2カ月に一度の支払いだったら、滞納額が増えるばかりじゃない? ) そう思われる読者諸氏もおられるだろう。 ご心配は無用だ。 いきなり退去命令が来るわけではない。 毎月の約定日である25日に支払いがなければ青色の封筒が届くのだ。 赤字で書かれてある文言はいつもの決まり文句だが、一応は確認している。 「家賃の支払いが3か月分滞っております。今月末までにお支払いがない場合は、退去をお願いすることになります。なお本件に関しましては、裁判所において法的措置を講じますので、取り消しはできません」 そんな脅し文句が並んでいるのだ。 (サプリメントと同じじゃん) そう同じだ。 同じだが違う。
当時はそれなりに収入があった
相手はただの請求代行会社ではないのだ。 独立行政法人(記憶が曖昧だが)と称する公的機関なのだ。 仕事場の請求代行会社と比べればはっきりする。 仕事場を斡旋してくれた不動産会社に延滞の詫びに訪れたことがある。 「うちにはちゃんと入金されていますよ」 「でも、延滞の請求書が毎月届くんですけど……」 「代行会社が支払ってくれるんですよ」 「それじゃ……」 「でも、請求書送付の手間仕事とかあって、そのぶん手数料が加算されますから、早めに支払ったほうがいいですよ」 そんな遣り取りが不動産会社の担当者とあった。 以前にも書いたことであるが、仕事場は当該不動産会社に斡旋されたもので、大家は別にいる。 3年後には取り壊すが、その折には、退去すると念書に署名捺印して借りられた物件なのだ。 出版社のプロモーション活動であろうが、『赤松利市』で検索すると、いかにも無頼派じみた写真ばかりが検出される。 不動産会社の審査を通過しても、大家さんから拒否されるのはそれが理由であろう。 (収入が安定しない新人作家だからかもじゃないの? )。 読者諸氏のご指摘も分かるが、今でこそ貧困に喘ぐ初老の作家だが、当時はそれなりの収入もあったのだ。 検索すると強面の写真ばかり検出されるのには理由がある。
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