なぜ37歳のイニエスタは大幅減俸を受け入れて神戸との契約を2年延長したのか?
26歳の守護神・前川黛也は3月シリーズで、同じくキーパーだった父・和也氏に続いて日本代表の系譜に名前を連ねた。イニエスタと同じ2018年夏にJ2のFC岐阜から加入した26歳のFW古橋亨梧は、自慢のスピードを武器に堂々のエースへ成長した。 日本代表経験者のMF山口蛍とDF酒井高徳、バルセロナでチームメイトだったMFセルジ・サンペール、ベルギー代表DFトーマス・フェルマーレンが厚みをもたらす神戸は、イニエスタを欠いた今シーズンの序盤戦で上位に踏ん張る好スタートを切った。 そして、U-20ブラジル代表歴を持つFWリンコン、ケニア代表FWアユブ・マシカも合流した神戸のごく近い未来に、誰よりも大きな可能性を感じている。だからこそイニエスタは契約延長に合意し、引退後も神戸を見守っていく思いを強くした。 「ヴィッセル神戸の関係者、チームメイト、ファン・サポーターのみなさんが愛情とリスペクトを持って自分を迎えてくれたことにいまも感謝している。みなさんが示してくれた気持ちに応えなければいけないと、ひしひしと感じている。モチベーションが薄れたと感じたときには自分から言う。それまではピッチで、このクラブと関わっていきたい」 モチベーションが失われたときは、イコール、スパイクを脱ぐとき。決意を新たにしたイニエスタは、会見を終えた直後に自身のツイッター(@andresiniesta8)を更新。少年時代からいま現在までのサッカー人生を1分弱にわたって編集した動画に、ハッシュタグのひとつに「#歴史は続く」を添えた上で、スペイン語と日本語の両方でこう綴った。 「素晴らしい日!」 イニエスタが愛してやまない古巣バルセロナも「日本でのより一層のご活躍をバルセロナから応援しています」とエールを送った新たな門出。会見の最後にバースデーケーキを贈られたイニエスタは、セレッソ大阪をホームのノエビアスタジアム神戸に迎える15日の次節から、心技体をさらに充実させながらサッカー人生の最終章をスタートさせる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)