川崎が名古屋との”首位攻防戦”で証明した「真の堅守」とは?
本当の意味での「堅守」とは何か。キックオフ前の時点でリーグ最少の3失点だった2位・名古屋グランパスに猛攻を浴びせ、4-0のスコアで圧勝した王者・川崎フロンターレが首位をキープした29日の明治安田生命J1リーグ第22節で、明確な答えが弾き出された。 敵地・豊田スタジアムに乗り込んだ川崎は、同じくキックオフ前の時点でリーグ最多の30得点。最強の「盾」と「矛」が雌雄を決すると予想された、勝ち点差わずか3ポイントで迎えた首位攻防の天王山は、時計の針が前半3分を指す前に実質的な決着がついてしまった。 インサイドハーフの旗手怜央が放ったスルーパスを、攻め上がってきた左サイドバック・登里享平に通る寸前で名古屋のDF木本恭生がかろうじてカット。前方にいたボランチの稲垣祥がボールを収めようとした刹那に、川崎がテーマにすえる「即時奪回」が発動された。 日本代表にも選出された稲垣へ、激しいプレッシャーをかけたのは旗手。攻撃から守備へ、瞬く間に意識を切り替えた証でもあるプレスの前に、左サイドに開いていたFWマテウスへのパスがずれる。すかさずFW三笘薫が突っかけ、ボールを名古屋の自由にさせない。 こぼれ球を胸トラップで拾ったFW柿谷曜一朗との間合いを、今度はアンカーのジョアン・シミッチが猛然と詰めてくる。この時点で柿谷が出すパスのコースがひとつだけに限定され、左側にいたマテウスを再び狙った横パスを三笘が余裕をもってカットした。 川崎がマイボールとしたエリアは名古屋陣内の左サイドのほぼ中央。三笘から登里、シミッチ、右サイドから移動してきたFW家長昭博、旗手、家長、そして主戦場とする左タッチライン際に開いていた三笘へと短いパスがポンポンと、時にはワンタッチでテンポよく紡がれていく。 今度は三笘がドリブルで仕掛け、ペナルティーエリア内にポジションを取っていたFWレアンドロ・ダミアンへパス。名古屋のキャプテン、DF丸山祐市のプレッシャーを背後から受けながらダミアンが落としたボールへ、走り込んできた旗手が豪快なボレーを見舞ってネットを揺らした。