なぜ来年6月に那須川天心vs武尊のドリームマッチが実現したのか…水面下の極秘会談と会見で飛び散った火花
すると武尊はさらに反撃した。 「天心選手は延長までいかないと言ってましたが、僕も現役をやってきて、一度も延長にいったことがない。おそらく本戦で決まるとは思うんですけど、天心選手も本当に強い選手だし、どうなるかわからないので、引き分けは絶対にいらない」 天心も延長戦という言葉に反応。 「僕も本当に現役の中で延長もいったことないですし」と言いかけて「延長はいったことありましたね」と笑って、前言を撤回。 「ロッタン選手とやったときは延長だったが、しっかりと勝った。ジャッジ、レフェリーの人も、相当悩むと思うので、その人たちを悩ませない、一番いい終わり方と言えばKOじゃないですか」とKO決着を宣言した。 延長無制限ルールに関して榊原CEOは、天心が返答に困った理由を補足するように問題点をこう指摘した。「無制限ラウンドという言葉にむちゃくちゃ嫌な思いをしているので怖い。無制限ラウンドになるとジャッジがつけるのを怖がりドロー、ドロー、ドローとなる」 2000年に東京ドームで行われたPRIDEでのホイス・グレイシー対桜庭和志の延長無制限の試合は、伝説の名勝負となったが、延長、延長で6ラウンドでホイスが棄権するまでの90分のロングファイトとなった。6月の試合は、地上波で生中継される予定で、キックの試合がそこまで延長する可能性はないだろうが、榊原CEOは、両者が納得する折衷案を用意することを約束した。 大会名、運営組織、中継、配信の放送体系、チケット販売予定などは年明けにも発表される予定だが、榊原CEOは「日本人対決に限らず日本人選手が関わって戦った試合をはるかに凌駕するファイトマネー。優劣はつけたくないし、そこに夢がある。これをオープンにしたい」とも明かした。 発表されるファイトマネーはおそらく億を超えてくるだろう。まだ未決着のルール問題や開催場所、そして中立リングゆえに実現可能なアンダーカードも含めて、この半年間は、話題に事欠かないことになる。 まず天心は大晦日のRIZINにRIZINラストマッチとして出場予定で、注目の対戦カードは今日発表される。 その後、来年4月2日のRISEの引退マッチを経て6月のリングに向かうことになる。 一方、大晦日に向けて徹底してサウスポー対策を練ってきた武尊は今年3月のレオナ・ペタス戦以来、試合をしていないため「1試合挟みたい」との意向を示した。K―1は2月27日に東京体育館で「K-1 WORLD GP 2022 JAPAN」が開催予定で、タイミング的には、ここで”天心前哨戦”を行っておくのがベストだろう。運命の戦いの火蓋は切られたのである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)