なぜ来年6月に那須川天心vs武尊のドリームマッチが実現したのか…水面下の極秘会談と会見で飛び散った火花
天心が「この試合を行うことで、これからのキックボクシングがすぐに発展するかといえば、そうではないと思う。ただ、僕は昔、K-1を見てキックボクシングを始めようと思った。この試合をやることで、そういうふうに思ってくれる人が1人でも2人でもいれば…まあたくさんいると思うが、未来のある子どもたちのために、僕はこの試合をやろうと思う」と発言すると、武尊が、その前段を受けてこう反論した。 「この試合が終わったら格闘技界が1回下がると(天心が)言ってたんですけど、全然そんなことはない。今、僕と天心選手以外にも、すごいいい選手がたくさんいて(自分たちが)いない大会でもすごい盛り上がっている。僕らの試合が終わった後、この試合を見て、格闘技が面白いと気付いてくれる人がたくさんいると思う。その人たちが僕らの試合だけじゃなくて、K-1だったり、RIZINだったり、RISEだったり、いろいろな団体の選手、また新しくファンになって、格闘技界がもっともっとでかくなってくる」 天心の意見も正直で、キック界を愛するがゆえの警鐘であり、武尊が語ったポジティブな波及効果も期待すべきものだろう。だが、世代の違う2人のイデオロギーの対決が背景にあるようにも感じた。 武尊には「1回でも負けたら引退すると決めて何年もやってきている。僕は今が全盛期だと思っている。今が一番強い」との自負があり、天心にも「ゆとり世代は、とか、Z世代はとか、色々言われるが、“いやいやそんなの関係ねえぞ”と”見てろよ“と。世間に知らしめたい」との思いがある。 ルール問題でも武尊が仕掛けた。ワンキャッチ、ワンアタックの天心の土俵であるRISEのルールは呑んだ武尊が、「ラウンド数とかはこれから決まると思うんですけど、僕は正直、この試合に判定とか、ドローとか、そういう結果はいらないと思う。延長無制限ラウンドでやりたい」と訴えたのだ。 榊原CEOは、各ラウンドのオープンスコアシステムを採用するなど判定に問題がおきないようにすることを明かしたが、武尊は、ドロー決着で終わってしまうことを嫌った。 一方の天心は、「そこは調整。関係者さん、自分のチーム、周りで相談して決めてもらえれば。榊原さんが最終的に決めることだと思うので、僕には、なにもあれ(主張)はない」と冷静に返答。「引き分けはいらない。そこまで持っていかなきゃいいという話」と続けた。