【コラム】角田裕毅にとって正念場の5年目…ホンダとのつながり関係なしに未来を勝ち取るため、2025年に成すべきこと|F1
F1の識者は、角田よりもリカルドを”有力”と見ていた
不明瞭な部分が多いところではあるが、F1のパドック内では角田よりもリカルドが、角田よりもローソンが長らく“有力”と見られた風潮があったことは記しておきたい。 『F1』公式プレゼンターを務めるローレンス・バレット氏は2024年1月『F1』公式メディアのコラムで「リカルドがレッドブルに再度ステップアップする場合、角田はもう1シーズン良いシーズンを送れば、ローソンと並ぶ十分な可能性が高い。ただし、もし角田かリカルドのどちらかが2024年苦戦した場合、そのうち一つのシートはローソンに与えられることになるだろう」と記述していた。 つまりF1の識者からしても、リカルドは2023年(後半7戦)角田に対して数字上劣勢だったにもかかわらず、レッドブル昇格の最有力候補と見ていたことになる。 バレット氏はそれから数カ月後の2024年4月「情報筋によると、少なくとも角田はレッドブルのセカンドシート候補者として、最終候補に入っていないという。私は角田が来年もRBのシートを維持するのに十分な努力をしていると理解している」と、角田はレッドブル昇格の可能性が低く、このままRBに乗り続けるシナリオが現実的だと分析していた。 結果的に角田は2024年6月にレーシングブルズと5年目の契約締結を発表する形になったが、レッドブルとしては当初から角田を昇格対象として見ていなかったという見方もできる。
ホンダがアストンマーティン以外にPUをカスタマー供給できた場合の”if”
このタイミングで角田にはハースやキックザウバー(アウディ)からの関心も寄せられていたとのこと。さらには2025年限りでPU供給を辞めることになるアルピーヌが、ホンダPUを搭載するのではとのうわさも一時あった。 後にアルピーヌは2026年よりメルセデスPUを積み、ワークスからカスタマーチームになることが確定。もしホンダとのタッグが実現可能だった場合、角田の移籍先として選択肢になり得たと予測できる。 アストンマーティンは2026年からホンダPU単独供給のワークス化を強く望んでいたこともあり、複数チームへのホンダPU供給は実現せず。それでもこれらが実現していた場合、アルピーヌ・ホンダとして角田&ガスリーの“ツノガス”が再度僚友になるというパラレルワールドもあったかもしれない。 剛腕フラビオ・ブリアトーレ氏の2024年6月アルピーヌ現場復帰によって、状況は再度大きく変わってしまった。さらには日産自動車とホンダ、三菱自動車による経営統合の可能性や、戦略的パートナーシップに向けた話し合いが起こっている現状、それが先々F1界にどのような影響を及ぼすのかも、引き続き注視する必要がありそうだ。