【コラム】角田裕毅にとって正念場の5年目…ホンダとのつながり関係なしに未来を勝ち取るため、2025年に成すべきこと|F1
ホーナー代表の”お気に入り”ローソンがレッドブル昇格
レッドブル昇格となったローソンは2023年に5レース、2024年に6レースを戦い、キャリア11レースでの抜てきとなった。まだフルシーズンを戦ったことがなくレッドブルの歴史においても、2019年に途中昇格となったアレクサンダー・アルボンの12戦を抜きキャリア最少でのレッドブル昇格となる。 レッドブルのホーナー代表は“お気に入り”のローソンを選出した理由についてこう述べている。 「レッドブルは常に若手ドライバーに投資をしてきた。彼らにチャンスを与えてレーシングブルズで成長させることに誇りを持ってきた。リアムはそこでチャンスを得て、限られた時間の中で2025年に向け、レッドブル・レーシングでマックス・フェルスタッペンの隣のシートに耐えられるだけの適切なスキルとマインドセットがあると証明した」 チームが見ている走行データは我々が知り得ない細部まで多岐にわたるため、ローソン選出理由を正確に説明するのはレッドブル内部の当事者以外、事実上不可能と言える。ただこの判断は日本のF1ファンに限らずひいき目無しで順当でなかったと見る向きがあり、主導したホーナー代表を邪推する声も少なくない。 ホーナー氏は「最終的に難しい判断だった。ユウキはとても才能のあるドライバーで、最近は我々のテストで良い仕事をした。しかし最終的に全ての要素を見てリアムが2025年にマックスの隣に座るに望ましい候補者だと感じた。データを見たところ、レースペースはリアムのほうが速い部分もあり、今後の成長力も踏まえて選出した」と説明していた。
ペレスの代案として見送られた角田を“激昂しやすい”と指摘するメディアもあり、ヘルムート・マルコ博士もその点は改善点だと口にしていた。 2024年の開幕戦バーレーンGP決勝ではチームオーダーが発動した後、フィニッシュチェッカー前に僚友リカルドがポジションを戻さなかったことから、角田がリカルドに怒りを示したシーンがあった。 オーストリアGP予選Q1では、ピットレーンで前に割り込んだチョウ・グァンユに対し、角田が好ましくない言葉を無線で口にしたことから、スチュワードに呼び出された。この一件で角田には4万ユーロ(当時のレートで約690万円)の罰金が科されている。スチュワードは“聴聞会の間、ドライバー(角田)は陳謝し、英語が母国語でなかったことから、そのワードが示す意味をよく知らなかったと説明した”というリポートを出している。 ではローソンのほうがトラック上で冷静沈着かと言うと、そうでもないのは多くのF1ファンが知るところ。アメリカGPではフェルナンド・アロンソと何度も際どい接近戦を繰り広げ、アロンソはレース後にフェアな戦いではないとしてローソンに詰め寄るシーンがあった。 続くメキシコGPのレース中には抜きあぐねたペレスをようやくオーバーテイクするも、先輩ペレスに向かってローソンはコクピット内で中指を立てている。このシーンはオンボードカメラの映像で収められ、国際映像には乗らなかったがかなりの問題行動としてクローズアップされた。 もちろんローソンの行為は褒められるものではない。またペレスにとっては侮辱してきた相手に後々シートを奪われるという、あまりに残酷な結末になってしまった。