出産後すぐに職場復帰できないなら辞めるしかない? 妊娠したら知っておきたい法律の話
働きながら育てていくには
もちろん、育休後も、子育てはずっと続きます。 そんななかで、母親&父親は、仕事との両立を図っていかなければなりませんね。そのための制度もいくつか用意されています。 たとえば、事業主は、3歳未満の子どもを養育する母親&父親について、短時間勤務制度を設けなければならないことになっています(育児・介護休業法23条)。つまり、労働時間の面からの配慮です。 また、子どもというのは、身体が未成熟で、いろいろなアクシデントがつきもの。 そこで、小学校入学前の子どもを養育する母親&父親は、年次休暇とは別に、子どもが1人であれば1年につき5日まで、子どもが2人以上であれば1年につき10日まで、看護休暇(病気やケガをした子どもの看護、予防接種や健康診断の受診などのための休暇)を会社に申し出ることができます(育児・介護休業法16条の2、16条の3)。 さらに、時間外労働や深夜業の制限もあります。事業主は、小学校入学前の子どもを養育する母親&父親から申し出があった場合、1か月で24時間、1年で150時間をこえる時間外労働をさせてはならず、また、深夜の労働もさせてはならないことになっています(育児・介護休業法17条、19条)。
“不利益を受けない権利“って?
さて、いままでいろいろルールを紹介しましたが、これはすべて、事業者が負う法的な義務であり、従業員がもっている当然の権利です。 もちろん、職場のまわりの人たちとの理解を得ながら進めることが大切ですが、働く人は、妊娠・出産・育児について法によって守られていることを知っておいてほしいのです。 ちなみに、妊娠・出産、産休、育休などをきっかけに、不利益な扱いをすることは禁止されています(男女雇用機会均等法9条3項、育児・介護休業法10条など)。 不利益な扱いとは、たとえば、「解雇させられた」とか、「退職を強要された」とか、「契約更新してもらえなかった」とか、「減給させられた」とか、「ふつうではありえないような配置転換を受けた」などです。これらはすべて違法です。 また、従業員が、上司や同僚から妊娠・出産、産休、育休などに関するハラスメントを受けないよう、防止するための措置をとることも、事業者には義務づけられています(男女雇用機会均等法11条の2、育児・介護休業法25条)。 たとえば、上司や同僚が「仕事に穴をあけるのなら仕事をやめろ」といったり、何度も育休制度の利用をやめるようにせまったり、「この時期に妊娠するなんて自覚に欠けている」と責めたり、通勤負担に理解を示さず定時に来ることを強要したりするような行為は、ハラスメントにあたるおそれがあります。もしハラスメントが生じたら、事業主はスムーズに対応できるよう、雇用管理上の措置をとらなければなりません。