出産後すぐに職場復帰できないなら辞めるしかない? 妊娠したら知っておきたい法律の話
「出産」のために会社を休む
次に、“出産の直前・直後“のステージです。 このステージでは、「産前・産後休業(産休)の制度」があります。 出産は、いつの時代でも命がけ。無事に出産を迎えられるように、そして出産したら体力を回復させてスムーズに職場復帰できるように、出産がせまった時期と産後しばらくの時期は、仕事を休む制度、それが「産休」です。 まず「産前休業」は、具体的には、出産予定日の6週間前からとなっていて、女性が請求した場合には、就業させることはできません(労働基準法65条)。 また、「産後休業」は、基本的に、出産日の翌日から8週間となっていて、とくに6週間は強制的な休業です(労働基準法65条)。 どちらも、母体を守るためにとても重要です。 なお、産前・産後休業の期間とその後30日間は、解雇をすることが禁止されています(労働基準法19条)。 また、妊娠中や産後1年以内の解雇は、事業主が、妊娠・出産・産休取得などによる解雇でないことを証明しない限り、無効となります(男女雇用機会均等法9条4項)。
「育児」のために会社を休む
次に、“産休の後“のステージを見てみましょう。 産休後、もしすぐに復職したとしても、生後間もない子を育てるママは何かと大変です。 ですから、1日2回、少なくとも30分間の育児時間を請求することができます(労働基準法67条)。 また、お医者さんから指示があったときは、健康診査などに必要な時間を確保してもらったり、妊娠中と同じように、必要な措置をとってもらったりすることもできます(男女雇用機会均等法12条、13条)。時間外労働、休日労働、深夜業などに対する制限もあります。 それから、1歳に満たない子を養育する母親&父親は、希望する期間に休業することもできます。 いわゆる「育児休業(育休)」ですね。これは、母親でも父親でも取得することができます。妊娠・出産は女性しか経験することができませんが、育児は男性もおこなうことができますからね。 ただ、日本における男性の育休取得率は、とても低水準です。 男性が子育てや家事に費やす時間が、先進国のなかで最低の水準となっているのも気がかりです。そのことが、女性に過度な負担となったり、仕事を続けることの障壁のひとつにもなっているのです。男性の意識改革が大急ぎで必要です。 ちなみに、育休は、正社員だけでなく、有期契約の従業員でも条件を満たせばとることができます。 また、子どもが1歳になったあとでも、たとえば、「育休のあとは保育所に預けて復職するつもりだったけど、保育所に入れなくて……」という方のために、育休の延長制度があります。再延長を含めて最長で子どもが2歳になるまで活用できる制度です。 育休は、どの会社も受け入れなければならない制度ですから、スミカさんの会社のように「うちの会社では、育休はないよ!」なんてことは認められません。