先週、一時「1ドル=149円台」まで反発も…国際金融アナリストが示唆する、米ドル/円「下落トレンド」への転換の可能性
先週、一時は149円台まで反発した「米ドル/円」。しかし、すぐに147円台へ反落するなど「米金利上昇=米ドル高・円安」は伸び悩む結果となり、米金利はすでに「低下トレンド」に転換した可能性が高い、とマネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は考察します。今週の相場の展開予測と合わせて、詳しく見ていきましょう。 【画像】「30年間、毎月1ドルずつ」積み立て投資をすると…
8月20日~8月26日の「FX投資戦略」ポイント
<ポイント> ・先週は、木曜日に発表された米小売売上高の予想より強い結果などから、米景気への懸念が後退、米金利が上昇すると、米ドル/円も149円台まで反発した。 ・ただ金曜日には147円台へ反落するなど、「米金利上昇=米ドル高・円安」も伸び悩む結果となった。 ・テクニカルに見ると、米金利は金利低下トレンドへ転換した可能性が高くなってきた。その意味では「米金利上昇=米ドル高・円安」は限られそう。今週の米ドル/円は144~150円で予想。
先週の振り返り=米景気懸念後退で149円まで米ドル反発
先週の米ドル/円は、木曜日に発表された米7月小売売上高などが、予想より強かったことを受けて、一時149円を大きく越える一段高となりました。今月初めの予想より弱かった雇用統計の結果などの影響で、米景気への懸念が広がったことへの修正が入ったと考えられます。 ただし翌金曜日には、米ドル反落となりました(図表1参照)。 結果として、米景気への懸念後退に伴う「米金利上昇=米ドル反発」は長続きせず、一時的な動きにとどまりました。 それはなぜだったのか? 1つの考え方として、米金利がすでに「金利低下トレンド」に転換したことから、金利上昇への反応が限られ、金利低下に動きやすくなっている可能性があります。 米長期金利の10年債利回りは、足下で4.3%程度の52週MA(移動平均線)を、これまでに大きく下回りました(図表2参照)。 これは、2020年の「コロナ・ショック」以降、米金利上昇トレンドが展開したなかで、初めての現象です。その意味では、複数年にわたる継続的な動きであるトレンドが、金利上昇から低下へ転換したとも考えられます。 経験的に、米金利が低下トレンドに転換した場合、それと逆行する一時的な上昇は、最大でも52週MA前後までにとどまり、基本的には、52週MAを3割以上下回る動きに向かう可能性が高かったようです(図表3参照)。 これを今回に当てはめると、米10年債利回りの上昇は限られ、基本的に3%割れに向かう流れに入っていることになります。以上から、予想より強かった小売売上高などの結果に対する「米金利上昇=米ドル高」の反応が限られたことも、納得できるのではないでしょうか。