先週、一時「1ドル=149円台」まで反発も…国際金融アナリストが示唆する、米ドル/円「下落トレンド」への転換の可能性
今週の注目点=米9月利下げは0.25%か0.5%か!?
米ドル/円は、先週末に足下で150.6円程度の52週MA(移動平均線)を3週連続で下回りました(図表4参照)。 経験的には、52週MAを1ヵ月以上と「長く」、5%以上と「大きく」ブレークした動きは、一時的ではなく、継続的な動き、つまりトレンド転換の可能性が高くなります。 以上、52週MAとの関係から判断すると、米金利は低下トレンドに転換した可能性が高いものの、一方で、米ドル/円は未だ下落トレンドへの転換を試す局面が続いているといった理解になりそうです。 とはいえ、米ドルは基本的に米金利の影響を大きく受けます。米金利が、これまで見てきたように低下トレンドに転換した可能性が高いのであれば、それに加えて、米ドル/円の下落トレンドへの転換の可能性も高まるかどうか、大いに注目されるのではないでしょうか。 それにしても、「米金利低下=米ドル安」への転換が、なかなか現実とならなかったのは、予想を超えた米景気の強さがあったと考えられます。 先週の、予想より強かった米小売売上高を受けた世界的な株高、金利上昇といった「逆ショック」は、まさにそれを再認識させたのではないでしょうか。 ちなみに、定評の高いアトランタ連銀の経済予測モデル、GDPナウが16日に更新した7~9月期の米実質GDP伸び率予想は、2%となっています。4~6月期の米実質GDP伸び率の速報値は、前期比年率で2.8%という高い結果となり、それからは減速するものの、あくまで緩やかな減速にとどまるとの見方になっています。 その状況下で、一時は9月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げは、一気に0.5%の大幅なものになるという見方から、先週はやはり0.25%の利下げにとどまりそうとの見方となり、それが149円台までの米ドル買い材料の1つになりました。 今のところ、9月の利下げ見送りとの見方にはなっていませんが、9月18日開催予定のFOMCまでに発表される雇用統計や小売売上高などの結果が、注目される状況は続きそうです。 私は、52週MAを参考に、米金利はすでに低下トレンドに転換した可能性が高いと考えています。それを前提にすると、米ドルの反発も限られるのではないでしょうか。 以上を踏まえると、今週の米ドル/円予想レンジは、144~150円と想定します。 吉田 恒 マネックス証券 チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長 ※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。
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