<ウクライナ現地>南部オデーサの集合住宅に自爆ドローン「シャヘド」、住民12人が死亡(写真10枚)
◆住宅地に自爆ドローン攻撃
3月2日深夜、ウクライナ南部オデーサでロシア軍による自爆型ドローン攻撃があった。ドローンは集合住宅に炸裂し、住民ら12人が死亡、うち5人は子どもだった。 (オデーサ:玉本英子・アジアプレス) 【動画】<ウクライナ現地報告・玉本コメント>南部オデーサの集合住宅に自爆ドローン「シャヘド」、住民12人が死亡
3月2日午前1時半ごろ、夜空に対空砲火が飛び交った。ダダーンという重い連続音が響き、空に向けて対空砲火が飛んでいくのが見えた。ウクライナ軍報道官は、ドローン8機がオデーサに飛来し、防空システムをすりぬけた1機が市内北部の住宅地に着弾したと発表。
翌日、ドローン攻撃があった現場に向かった。集合住宅が密集する地区には、住宅や商店が立ち並ぶ。ドローンが炸裂した9階建てのコンクリート造りの住宅の一角は、上から吹き飛び、崩落していた。踏みつぶされたように建物がえぐられ、室内が剥き出しになった状態の部屋もあった。
◆瓦礫から子どもの遺体
現場では救助活動を続けるレスキュー隊や消防隊が救助活動にあたっていた。クレーンで大きなコンクリート壁を移動させ、崩れた建物の瓦礫を隊員たちが取り除いていく。住人が埋もれている可能性があるため、隊員がひとつずつ手で瓦礫を掻き分ける作業で、捜索犬も投入された。瓦礫のなかから子どもとみられる小さな遺体が隊員に運び出されると、住民から落胆のため息が漏れた。
ウクライナ軍オデーサ管区のナタリヤ・フメニュク報道官は、「攻撃を受けたのは住宅地であり、近くには学校もある。軍事施設や工場もない地区で、市民を狙った攻撃だ」と述べた。 シャヘド・ドローンは巡航ミサイルよりも飛来回数が多く、頻繁に防空警報が発令されており、住民の心理的ストレスも増している。
被害を受けた住宅の向かいの棟に住む男性は、ドローンが炸裂する瞬間を見たという。 「こんな近くの住宅地で爆発するなんて恐怖しかない。この地区の住宅は古い構造で、地下の退避シェルターに逃げても建物が上から崩落する危険がある。今度攻撃があったら屋外に逃げるしかない」と話した。