料理家なのに鍋を焦がす。つまずいてもいないのに転ぶ。50代の私はいろいろヤバい
道具はどんどん減らす
これにともなって道具も変わりました。 まず重たい鍋。仕事柄でもありますが、 20歳くらいからル・クルーゼにはじまり、ストウブやバーミキュラなど鋳鉄(ちゅうてつ)の重たい鍋をたくさん、実用ではなくコレクションかと思うほど求めていましたが、この数年で三分の一まで減らしました。もしかするとそれでも、この仕事をしているから多めに残しているのかもしれません。 その中で、自分が実際に日々の料理で愛用しているのは、ストウブの深さ7センチ(浅め)径24センチの平べったい鍋と、ココットの14センチ径のものだけです。ストウブは内側が琺瑯(ほうろう)びきではないので鉄のフライパンのように使っても大丈夫。ごしごし洗えるし、扱いやすい。 これに、鉄のフライパン(山田工業所)がサイズ違いでふたつ、作家さんによる深めの鉄 のフライパン、テフロンのフライパンひとつ(ティファール)、厚めの行平鍋(姫野作)ふ たつ、24センチのせいろ (照宝)、ステンレスの20センチの鍋(柳宗理)というのが 1軍のラインナップです。 ボウルやざる、バット、包丁やトング、レードルも引っ越しにともなって見直して、全体の二分の一にしました。まあ、それでも多いな、もっと減らせるなと思っています。還暦までに三分の一まで減らすつもりです。 食べたいものが変わって、料理が変わり、買いおきを減らし、作りおきを減らし、道具を減らしたら、とても快適。料理の楽しみをあきらめたのではなく、かえって、今自分が食べたい料理が、これまでより作りやすくなりました。 やっぱり料理は楽しい、一日でも長く続けたい。 第2回は、50代になったら、ひとりってめちゃくちゃ楽しいじゃない、と自然に思うようにをお届けします。
山脇 りこ(料理家)