「今は、スランプかもしれないですね」――戸田恵梨香ロングインタビュー
今は、スランプかもしれないですね
役者という仕事の魅力は、「作品づくりに関わることで、人として成長するチャンスがあるところ」だと戸田は言う。 「その都度、考えるテーマをいただいて、いろんな人たちと出会って、たくさんのモノを見て、違う価値観を知る。学ぶ機会が圧倒的に多いと思うんです。私は、“自分自身が成長すること”に一番興味を持っているので、いつも自分をアップデートする機会をもらえることは、ラッキーだなと思っていますね」 俳優は、天職。 だが、スランプに陥ることもある。 「今は、スランプかもしれないですね。このところ、なんだかいろいろ考えすぎていて、とにかく今まで必死に走り抜いてきたので、ちょっと疲れたな、というのが本音です。体力も、記憶力にも自信が持てなくて。こんな時こそ、ダイビングに行けたらよかった。二十歳の頃から趣味で続けてきたんですけど、コロナもあって、もう3~4年やれてないんですよね。ダイビングって、本当に何も考えなくてもいいというか、心がリセットされるんです。またいつかやりたいですけど」 最近の「心の癒し」は、スタジオジブリの作品を見返すこと。DVDボックスを購入し、改めてその素晴らしさに感動しているという。 「最近も、『風の谷のナウシカ』で号泣しました。子どもの頃に観た記憶でとどまっていたんですけど、今こうして大人になって、ようやくわかることがあるんです。『おもひでぽろぽろ』も『天空の城ラピュタ』も好き。定期的に観たい作品ばかりです。ジブリに癒されてます」
とにかく、私はめんどくさいんですよ(笑)
本人いわく、「めんどくさい性格」。 「なんでしょう、『正しくなければならない』とか思い込みがちなんですよね。例えば学生時代に、試着室に土足でがしがし入っていく中年女性を見て、良くないなと思った記憶があって。マナーのない人が苦手という自己認識は、もうその頃からありました。白か黒かはっきりしなきゃダメみたいなところも、ずっとあるような気がします。ただこれは親から得たものではなく、自分自身で作った価値観だと思います。父からは、『自分の物差しで人を見てはいけない』と教わりました。それは上京して、仕事をする中で、少しずつ理解していったという感じですけど、どこかでつい『正しくなければ』と考えてしまう。とにかく、私はめんどくさいんですよ(笑)」 NHK連続テレビ小説『スカーレット』では15歳から40代後半までを演じ上げ、話題となった。『母性』での役柄も、20代から50代へと歳を重ねる。 自身が女性として年齢を重ねることについてはどう感じているのかを尋ねると、意外な答えが返った。