「今は、スランプかもしれないですね」――戸田恵梨香ロングインタビュー
「歳を重ねる……基本的には、楽しみではあるんですけど、やっぱり『死』に向かっていくわけですから、恐怖もすごく感じています。子どもの頃から、死に対する恐怖がものすごく強いんです。大人から、怖い話を聞かされたりするじゃないですか。嘘をついたら地獄に落ちて閻魔大王がどうのとか、想像するだけで『怖い!』ってなったし、映画『火垂るの墓』で受けた衝撃も忘れられない。息ができなくなったらどんな感じかなと思って、少し息を止めて見て、『やっぱり怖い!』って。死んでしまったら、何にも触れられなくなるとか、笑えなくなるんだ、とか、当たり前にしていることができないということが恐ろしくてたまらなかった。今も、少しでも体調を崩すと、死を想像してしまう。死が待っているという現実がとても嫌ですね。いやもう、まだ絶対死にたくないです」 とはいえ、100歳まで生きたとしたら、それはそれでしんどいのかな、と戸田は笑う。時を止める何かがあったら楽なのに、と。 戸田の言葉はいつでも正直だ。辛ければ、辛いと言う。死が怖い。どう見られても、どう思われても構わない。 ただ、携わる作品をよりよくしたいという思いで動いている、そういう俳優だ。 「インタビューに答えていると、自分は今何をどう考えているのかがわかるし、気持ちも整理できる気がします」 目の前でとりとめもなく語る戸田の表情には、何も気負うところがなかった。 ___ 戸田恵梨香(とだ・えりか) 1988年、兵庫県生まれ。俳優。ドラマ、映画、CMなど幅広く活躍する。近年の代表作には『劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』『あの日のオルガン』『最初の晩餐』『大恋愛~僕を忘れる君と』『スカーレット』『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』など多数。11月23日には永野芽郁と母娘役を演じた主演作の映画『母性』が公開される。