【社長対談】村山正道×皆本晃「“立川と言えばアスレ”に」立飛ホールディングスと描く未来|Fリーグクラブ特集/立川アスレティックFC
立川アスレティックFCのホームゲームに足を運んだことがある人であれば「立飛」という名前に大きな既視感を覚えるだろう。多摩モノレールの「立飛駅」や、そこから徒歩30秒の好立地にある「アリーナ立川立飛」はもちろんのこと、駅の反対側にある「ららぽーと立川立飛」など、いずれも「立飛」が入っている。 【1日密着】皆本晃・選手兼クラブ代表理事のリアルに迫る!元日本代表主将がユニフォーム→ジャケット姿で戦う理由 立飛とは、地名ではなく社名のこと。すべて立飛グループの敷地内にあるのだ。 立川駅北側に開放されている「グリーンスプリングス」から多摩モノレールに沿って立飛駅に向かう周辺、およそ東京ドーム21個分に相当する98万平米の土地が同社の所有地である(94万平米が当初からの所有地で、立川駅北側の約4万平米が国有地を取得したもの)。 昭和初期、この地には日本初の国際空港「立川飛行場(東京飛行場)」が存在し、後に移転して羽田空港となっていった歴史がある。その飛行場の隣にあった「立川飛行機」は戦前、戦中は飛行機を製作し、戦後は社名を変え不動産業を行ってきた。 2010年、村山正道氏が第12代目の社長に就任した後、グループ事業の再編により、2012年から「立飛ホールディングス」として生まれ変わった。 アスレの今は「立飛」なしに語ることはできず、もっと言えば、村山氏なしには語れない。 クラブはこの7年間で「府中」から「立川・府中」、そして「立川」とホームタウン移転を遂行した。特にこの2年半は、皆本晃選手兼代表理事をリーダーに据え、アスレは立飛と志を共にして突き進んできたと言える。 皆本が村山社長と出会わなければ、あるいは立川に立飛がなければ、今のクラブの歴史はない。進化を遂げるアスレを知る上で、2人の物語と想いは切り離せないのだ。 そんな両者の“等身大の掛け合い”をお届けする。 取材・文=本田好伸
「知らないお店にアスレのポスターが貼ってある」(村山)
──立飛ホールディングスは、アスレがホームタウンに「立川市」を加えて「立川・府中アスレティックFC」となった2018シーズンから支援していて、ユニフォームの胸にも「TACHIHI」のロゴが入っています。お2人が出会ったのはいつですか? 皆本 2017年にアリーナ立川立飛がオープンした頃、正式に支援のお願いでご挨拶しました。自分はまだ代表理事ではありませんでしたが、当時のクラブの会長と一緒に伺いました。 村山 そうそう「当時人気ナンバーワンの選手を連れて来た」ということでした(笑)。 皆本 当時はやべっちFCなどにも出演していましたし、人気も実力も日本トップクラスを自負していた、自分にとってはピークの時期だったので(笑)。 ──やべっちFCの人気投票でも1位を獲得し、日本代表でキャプテンも務めていました。 村山 そんな時もあったね(笑)。 皆本 その場に同席させてもらってから、今までずっとかわいがってもらってきました。 村山 人気がありますって顔をしていた(笑)。アピール上手でもあったと思う。ただ、本当に感心しているんです。私が立川界隈のお店で呑んでいると、そこにやって来て営業活動している姿を見てきたので。 皆本 ところかまわずお会いしましたよね(笑)。 村山 皆本さんが、夜な夜な飲食店を巡っていたんです。知らないお店に入ってもアスレのポスターが貼ってあるのを見て「ここにも皆本が来ている」と。商店街や小学校を含めていろんなところを訪れていますけど、そうした行動がすごく大事ですから。皆本さんはもう実業家と言っていいですよね? 皆本 実業家の顔もあれば選手の顔もあるので、その2つの顔を都合良く使い分けています。もうすぐ一本に絞るつもりですけどね。 村山 泣きついてこないでね(笑)。 皆本 たぶん……(笑)。そうならないためにこの数年、選手をやりながら事業面でも軌道に乗るように意識してきましたし、選手のメリットを生かして応援してくれる人も増えました。立川で選手としてプレーしていて代表理事もしていますとご挨拶することで、覚えてもらいやすいですからね。でも本当に、立川に来た時は右も左もわからず、知っている人もいない状況でしたから、村山社長を頼って何から何までお世話になり続けてきました。 村山 それなのに、試合に応援に行くと負けるんだから(笑)。残り2分で2点リードしていたところから追いつかれたこともあった。 皆本 そうでしたね……。 村山 だから試合には行かないようにしなきゃと。 皆本 そう言いながら来てくださっていました。立川・府中時代にはそんな試合が続いていましたが、今ではホームゲームの勝率もかなり上がりました。村山社長に来てもらった試合でも、ここ最近は負けてないですよね? 村山 そうかもしれないね(笑)。 皆本 応援してくださる方が増え、ホームアドバンテージを出せるようになりました。選手の顔つきを見ても、アリーナ立川立飛では誰一人、負けるとは思っていません。 村山 そうした気持ちはすごく大事だと思う。 皆本 自分も選手たちに「ホームなら勝てる」と伝えてきました。「ホームでは絶対に勝たないといけない。そうしないと未来はない」と。結果を出せるようになって良かったです。 村山 日本のフットサルはどうなっていくの? 皆本 それは、僕次第です。そういう気持ちで取り組んでいます。 ──アスレのホームゲームでは、昨シーズンの観客動員数が平均1374人で前年から225人増え、今シーズンも平均1500人を超えています。2023シーズンに行った男女共同開催の「青夏2023」では2031人を記録しました。 村山 弊社が支援しているB3の立川ダイスには、「集客は皆本を見習え」と伝えていました。それでもなかなか結果が出ないところから、ユニフォームを子どもにプレゼントしたり、スティックバルーンを渡したり、子どもを無料にしたりして、今では平均2000人を超えて観客動員数もB3で2位になりました。お客さんが増えると、選手のプレーも変わってくるよね。 皆本 いざという時に、お客さんの後押しは本当に大きいと感じます。審判にプレッシャーもかかったり、相手に与える影響も違ったり、自分たちへのプレッシャーもあったりするので、選手の動きは全く違うものになりますね。 村山 皆本さんは「練習場も必要」とずっと話してきたよね。 皆本 専用練習場の建設は2028年を目指しています。その年に全選手プロ化と、それまでにFリーグ優勝を実現できるようにという目標を定めて、順調に進めています。 村山 うちも5000人のアリーナを建設予定だからね。 皆本 それはぜひとも、アスレの試合でも使わせてもらいたいです。ただし、そのためには毎試合5000人を集められるくらいじゃないと貸してくださいとは言えないので、今は毎試合毎試合、必死にお客さんの数を積み重ねられるように取り組んでいます。
【関連記事】
- 【フットサルクラブ特集】立川アスレティックFC「飛び立つ新生アスレ」|Fリーグ
- 【主将座談会】完山徹一×上村充哉×中村充「アスレのエンブレムを背負う以上、負けちゃいけない」|Fリーグクラブ特集/立川アスレティックFC
- 【フットサル日本代表】“フットサルの申し子”が小学生から夢見た舞台で示す覚悟「みんなとは違う自分らしさを出して、ここで終わらないように」(南雲颯太/立川アスレティックFC)
- 【全文掲載】フットサル日本代表・高橋健介監督が掲げるW杯へ向けた6つの指針とは?
- 【“俺がやる世代”対談】南雲颯太×岩本大輝「見ていて楽しいプレーで、お客さんをワッと沸かせる」|Fリーグクラブ特集/立川アスレティックFC