【社長対談】村山正道×皆本晃「“立川と言えばアスレ”に」立飛ホールディングスと描く未来|Fリーグクラブ特集/立川アスレティックFC
「目先の利益や、社会的に意味のないことはやらない」(村山)
──アスレが「立川」となっていく過程で、村山社長の存在が大きかったと感じます。 皆本 ホームタウンを変えるのは簡単なことではないと思っています。僕らのクラブが「府中」から「立川・府中」となった際もさまざまなご意見をいただきましたし、立川の人たちからは「いつ、立川に来るんだ?」とも言われてきました。その時にもずっとかばってくれていたのが村山社長です。立飛さんの社内の声に対しても、僕らへの厳しい声を緩衝していただきました。ただ長くは続かないと思っていましたし、僕自身ここで新しく勝負したいな、と。なによりも村山社長と共に新しいステージに行きたいと一念発起して「立川」に移転しました。 村山 弊社はもちろんアスレを応援していますけど、チームを応援するというより、まずは「俺が応援するのは皆本だ」という感覚でしたから。最初は「立川・府中」でもいいと思っていましたが、社内で「立川」がいいという声も大きくなっていった。ただ、これは私自身が10年以上前から話していますが、立川という街の可能性は間違いなく大きい。 根拠は、弊社が所有する約94万平米の土地があったからです。民間が100%の権利をもつ広大な土地を開発すれば、劇的に変えることができるだろう、と。この10年は控えめにやってきましたけど、だいぶ変わってきましたね。 皆本 控えめでこの規模ですか(笑)。 村山 人は急激な変化は望まないですから。5年ごとに飽きさせない取り組みをしてきました。 <所有地の商業施設や芸術・文化・スポーツ施設> ※主なもの 2015年12月「ららぽーと立川立飛」開業 2016年8月「大相撲立川立飛場所」開催 2017年7月「タチヒビーチ」竣工 2017年10月「アリーナ立川立飛」竣工 2017年11月「立川立飛流鏑馬」開催 2018年4月「Fuji赤とんぼ保育園」開業 2018年8月「ドーム立川立飛」竣工 2018年9月「東レ パン パシフィック オープンテニストーナメント 2018」誘致 2020年4月「GREEN SPRINGS」開放 2020年7月「TACHIKAWA STAGE GARDEN」開業 2021年12月「立飛麦酒醸造所(立飛ブルワリー)」オープン 2020年9月「TOHOシネマズ 立川立飛」オープン 2023年5月「ムラサキパーク立川立飛」竣工 2024年11月「MAO RINK TACHIKAWA TACHIHI」運用開始予定 ──立飛駅周辺のあらゆる施設の建設やスポーツへの支援、立川駅北側のグリーンスプリングスの開発を始め、この10年間で立飛ホールディングスが手掛けた事業や施設はものすごい数です。その過程で間違いなく街全体が活性化したように感じます。 村山 2015年にららぽーと立川立飛がオープンして、2020年にはグリーンスプリングスを開放しました。この先の構想も進んでいますが、基本的には5年ごとに節目となるものをやりたいと考えています。コロナの影響で遅れてしまったものもありますけど、これまでにやってきたことの成果として、たしかに街の賑わいが出たと感じています。 ──村山社長のとてつもない経営手腕を感じます。 村山 今は、利益至上主義や収益至上主義の経営者が多いように感じます。一方で昔の経営者には「損をして、得を取れ」と話す方々がたくさんいました。私は、いい施設、いい取り組みには必ず人がついてくるという信念をもっています。人がついてくるということは、必然的に経済合理性がついてくる。儲けよう、儲けようという取り組みは相手に見透かされてしまいますから、私は儲けようと思って始めた事業や作った施設は一つもありません。 皆本 アリーナもその考えがあって建てられたものですよね。 村山 ららぽーと立川立飛は、若い人が足を運べる商業施設があるといいよねと始まりましたが、最初はあまり人が来ませんでした。そこで、人が集まる施設について考えて建設した一つが、アリーナ立川立飛です。現在は、アリーナに来たお客さんの2、3割がららぽーとに足を運んでいます。アリーナだけの損得を考えると厳しいですが、私たちがもっていた94万平米と、2015年に取得した立川駅北側の国有地の約4万平米を併せて、東京ドーム21個分の98万平米の土地があるので、それを活用するイマジネーションとクリエイティビティが大事だね、と。 東京都内で一団地でこれだけの土地を所有しているのは当社だけという記事もありましたけど、この地域のためにどうやって活用していくのか。お金は、お金のあるところに入ってくるものですけど、世の中の「お金、お金」という風潮はずっとおかしいと思ってきました。私が大事にしていることは「浮利を追わず」の精神と、「人のため、世の中のため、地域のためになるか」という経営判断です。目先の利益や、社会的に意味のないことはやりません。 皆本 そこに、アスレを少し入れてもらったという感じですね。 村山 今の立川の街の賑わいのうち、いくらかは皆本さんがつくってくれていると思います。世の中はバランスが大事ですから、私がやっていることは、芸術と文化、スポーツに関わるところを意識して取り組んでいます。 皆本 アスレとしても、1%でも地域への貢献度を上げられるように頑張ります。 村山 ターゲットはやはり子どもだと思います。地域の人、その中でも子どもたちに、日本の伝統文化もそうですし、本物のアスリートに触れてもらいたい。子どもが小さい時にする経験・体験はその後に大きな影響を与えますし、次の世代を担う子どもにいろんな経験・体験をさせてあげることは大人の責任ですから。 ──村山社長の数々の言動と、皆本さんの日々の言動は、すごく共通点を感じます。 村山 それは私の受け売りですね(笑)。 皆本 その通りかもしれません(笑)。ただ、決して村山社長に合わせているということではなく、例えば地域を盛り上げるということは、スポーツチームの存在意義でもありますからね。人のため、子どもたちのため、地域のために貢献したいと考えているのは、クラブも同じです。そこに共感して支援していただいていますし、想いは同じだと感じています。
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