【毎日王冠】差す競馬で巻き返し期待、ローシャムパークが本命 穴はこの舞台でしぶとさ光るシルトホルン
展開の振れ幅が広いコース
毎日王冠の舞台となる東京芝1800mは、2コーナーを斜めに横切るように向正面に入るコース形態だが、3コーナーまでの距離が約750mと長いため、展開の振れ幅が広い。 【毎日王冠2024 推奨馬】能力は断然No.1!複数の好データ持ちで圧勝だ SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 2020年のように逃げ馬が大逃げを打てば、稍重で4F通過46秒2とハイペースになることもあり、2013年のように確たる逃げ馬不在のメンバー構成であれば、良馬場で4F通過48秒2とかなりのスローペースになることもある。 全体的な傾向を見ると、稍重時にハイペースが発生している。今年は土曜日も断続的な雨の中で競馬が行われ、レース当日も稍重が予想される。おそらくそれなりに流れて、差し馬有利になる可能性が高い。 しかし、穴馬は先行馬だろう。今回は少々ペースを引き上げていっても容易にバテない強い先行馬が揃っている。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 ホウオウビスケッツ】 今夏の巴賞と函館記念を連勝。前走の函館記念では12番枠から五分のスタートだったが、二の脚が速く、楽に逃げ馬アウスヴァールの外2番手へ取り付いた。 1~2角では手綱を抑えてコントロールし、道中はアウスヴァールと2馬身半ほど離れた2番手を追走。3角では同馬と3馬身差だったが、3~4角で徐々に差を詰めながら外に誘導、4角で一気に先頭に並びかける。直線序盤で抜け出すと、ラスト1Fで突き抜けて3馬身半差で圧勝した。 前走は逃げて勝利した巴賞から1Fの距離延長。前半のペースも速くなったが、ここでは逃げずに離れた2番手に控えたことも功を奏し、自己最高の指数を記録した。 大きな差をつけた3着アウスヴァールと4着サヴォーナが後にオールカマーで2着、4着と善戦したように、レベルの高い一戦だったのは確かだ。 今回は時計の掛かる馬場から東京開幕週の高速馬場に変わることで決め手不足が懸念されるため、そこまで人気にはならないようだ。先行してしぶとさを生かせば高速馬場そのものはこなせるだろうが、それよりも前走の疲れが心配で、ここは評価を下げたい。 【能力値2位 ヨーホーレイク】 2021年の皐月賞5着、日本ダービー7着馬。そこから7カ月の休養明けとなった4走前の日経新春杯では、同世代の皐月賞3着、ダービー3着馬ステラヴェローチェを破り、嬉しい重賞初制覇を達成した。 4走前は10番枠から出遅れて後方、そこから中団馬群の中目まで挽回していった。道中は我慢して動かず、3~4角では前のステラヴェローチェを追いかけて徐々に進出していく。 直線序盤で外に誘導して追い出されると一気にステラヴェローチェに並びかけ、ラスト1Fではマッチレースに。最後までしぶとく伸び続けて3/4差で勝利した。 4走前は平均ペースで3着馬に3馬身3/4差をつけ、今回のメンバーではNo.2の指数を記録。その後、屈腱炎を発症して2年2カ月の長期休養を余儀なくされたが、前走の鳴尾記念で見事な復活を果たした。 しかし、本馬は芝2200m以上がベスト条件で、本来はここよりも同日に京都芝2400mで行われる京都大賞典のほうが向く馬だ。実際、2000mの前走では2200mの4走前ほどの指数で走ることができていない。その背景には、長期休養明け後に前進気勢が強まり、先行していることが影響しているとみる。 今回は1800m戦になるため中団からのレースになると見ているが、この距離だと本馬よりもキレる脚を使える馬が多く、よほど前がペースを引き上げてくれない限り善戦止まりで終わる可能性が高い。逆にこの距離でポジションを取りに行けば、崩れる可能性もある。 【能力値3位 マテンロウスカイ】 今年2月の中山記念を優勝した馬。その前々走では8番枠からまずまずのスタートを切り、先行争いに加わっていったが、最終的には前の2頭を行かせて2列目の最内を確保という完璧な入り。道中もかなりのハイペースで展開した中、コントロールしながら前のスペースを維持して3角へ向かう。 3~4角では先頭のドーブネとの差をじわっと詰めて4角で外に誘導、同馬と3/4差で直線へ。序盤で早々に並びかけると、ラスト1Fで抜け出して2馬身差で完勝した。 本馬はマイル戦だと前半の位置取りが難しくなることが多く、楽に先行できる芝1800mがベスト。実際に昨年5月のメイS(OP)では、二の脚で内外の各馬を楽に制して緩みないペースで逃げ、後の東京新聞杯の覇者サクラトゥジュールにクビ差の2着と善戦している。 前走のドバイターフは逃げ馬にそこまで厳しいペースではなかったが、15着に大敗。これはその前の中山記念で自己最高指数を記録と、好走した疲れによるものが大きい。今回はそこから立て直しての一戦。1800mでこのメンバーなら楽に先行でき、雨の影響で多少でも上がりの掛かる決着になる点は好ましい。重い印を打ちたい。 【能力値4位 ローシャムパーク】 デビュー4戦目の山藤賞で7馬身差の圧勝。この時点で古馬3勝クラス級の指数を記録した素質馬だ。当時の指数は翌日の皐月賞(勝ち馬ジオグリフ)出走なら3着入線レベルで、この山藤賞の2~4着馬は現OP馬である。本馬も昨年はむらさき賞(3勝クラス)、函館記念、オールカマーを3連勝した。 4走前のオールカマーでは13番枠からやや出遅れたが、軽く促されて中団外目を追走。タイトルホルダーが淡々と逃げて向正面で隊列が縦長になっていく展開を外から強気に押し上げ、3角では好位の外に取り付く。 3~4角では中目を通し、4角出口で外に誘導すると直線序盤では一気に2列目に並びかけ、ラスト1Fでタイトルホルダーを捉えて1馬身1/4差で完勝した。 今年は大阪杯で2着。同レースでは2番枠からまずまずのスタートを切ったが、二の脚が遅く後方に下がってしまう。そこから外に出して向正面半ばで2列目まで上がったが、内のベラジオオペラが抵抗。3~4角でペースが上がっていくなかで2頭分外を回る形となり、4角出口ではやや置かれてしまった。もう一度盛り返し、ラスト1Fでベラジオオペラに食らいついたが、クビ差及ばなかった。 本馬はゲートも速くないが、それよりも二の脚が遅い点がネック。ゆえにしばしばマクる戦法を取っているが、前走の宝塚記念は3角までにマクり切れず、ペースが上がった3角でかなり外を回り、そのまま4角でも大外をぶん回して5着に敗れた。自己最高指数を記録したオールカマーとの大きな違いは、3角までにマクり切ったか否か、である。 しかし、最後の直線が長い東京芝1800mならば、6走前のむらさき賞と同様にマクる必要がない。普通に差す競馬で巻き返せるはずだ。雨の影響で上がりが掛かる馬場も好ましく、今回の本命候補とする。 【能力値5位タイ エルトンバローズ】 休養明けで挑んだ昨年の毎日王冠では、ゴール前の大接戦を制して4連勝。古馬との初対戦でソングラインやシュネルマイスターといった強豪を撃破した。 そのレースでは6番枠から五分のスタートを切り、好位の最内を追走。道中は前のエエヤンが外に行ったのを見て、スペースを作って3列目を確保する。 3~4角で最内から徐々に2列目まで上がり、4角では先頭ウインカーネリアンの直後へ。直線序盤は進路がなかったが、ラスト2Fで同馬の外から窮屈な間を割って伸びて先頭列。ラスト1Fで抜け出したところを外から3頭に強襲されたが、ハナ差で勝利を収めた。 このレースは最後の直線でワンテンポ仕掛けを待たされる場面があったが、最短距離を通すことができ、完璧に近い騎乗だった。とはいえ、倒した相手を考えればその価値は高い。 続くマイルCSでは休養明け好走の反動が懸念されたが、先行争いが激化して差し追込馬に向いた展開の中、上位のナミュールやソウルラッシュよりも前で進めて0.2秒差の4着と善戦している。 4歳になってからは不振に苦しみ、中山記念7着、香港のチャンピオンズマイルは8着、前々走の安田記念でも8着に敗れたが、前走の中京記念では3着と復調の気配を見せた。 その前走はテーオーシリウスとセルバーグの逃げ争いが激化したため極端なハイペースとなったが、それを見ながら離れた中団を追走。3~4角で前とのスペースを詰めて4角で仕掛け、直線早め先頭に立ったことで甘くなっての3着だった。 前走は本馬をマークしたアルナシームが優勝したことからもわかるように悪い内容ではない。また、今年の中京記念は小倉芝1800mの開催で、本馬は1600mよりも1800mでこそ、ということを改めて感じさせた。昨年優勝したこの舞台でさらなる前進を期待したい。 【能力値5位タイ ニシノスーベニア】 3走前の幕張S(3勝クラス)は後続に0.8秒差の圧勝。そこですでに重賞通用レベルの指数を叩き出している。 レース当日は稍重発表だったが、連日の雨の影響で時計が掛かる馬場状態。2番枠から五分のスタートを切り、軽く促していたが、外から2頭が飛ばしていくのを見ながら控えて4列目の最内を追走する。 向正面でじわっとポジションを上げ、3列目付近の最内で3角へ。3~4角でペースダウンすると2列目の最内まで押し上げ、4角では一気に差を詰めて出口で逃げ馬の外2番手に誘導。直線序盤で一気に抜け出して3馬身のリードを奪うと、ラスト1Fではさらに差を広げて5馬身差で圧勝だった。 3走前は2回中山開幕週で内有利馬場の最内を立ち回る競馬。ペースが上がった前半は控え、ペースが落ちた3~4角で仕掛けたことで展開にも恵まれた。しかし、3勝クラスで上位争い常連の2着馬ニシノライコウに5馬身差をつけたことは、それらを加味した上でも評価できる。 このように時計の掛かる馬場の緩みない流れのマイル戦で好指数を記録していることから、1800mという距離自体は悪くない。ただし、高速馬場ではあったが、休養明けで緩みなく流れた前走のエプソムCで2着に善戦。それなりに能力を出し切っているだけに、今回は上昇し切れない可能性が高い。また、前走は先行したシルトホルンのほうが強い内容でもあり、ここはやや足りないと見る。