「サイド転向直後に現役ドラフト」楽天→広島も1年で「戦力外だよな、そりゃ」トライアウト10日後…内間拓馬26歳が“沖縄でも“投げるワケ
戦力外通告…そりゃそうだよなって
広島に移籍した2024年、内間は二軍では29試合に登板して1勝2敗27回、防御率4.00という成績だったが、一軍には声がかからなかった。そしてオフに戦力外通告を受けた。当時の心境を、率直に明かす。 「僕が会社経営をする立場なら、投手は一軍の試合で投げてナンボなので、二軍で投げているだけでは仕事をしてないことになる。そんな社員には給料をあげられないじゃないですか。だから戦力外通告を受けたときに、そりゃそうだよなって思ったんです。 スタートの時点で勢いに乗れなかったのも、僕の責任です。カープは8月まで首位争いをしていましたが、勝っていたら中継ぎ陣を変えることはないじゃないですか。上で投げている人が打たれない限り、出番は回ってこない。 負けパターンで投げる投手たちも仕事をしていましたし、シーズン終盤になるとテスト登板する余裕もなくなって来る。僕も二軍で、もっと圧倒的な成績を残せばよかったんです。全ては自分に返って来る、そういう世界ですね」
トライアウト参加…ストロングポイントを出し切ってない
客観的に自分の立場はわかっているが、それと投手・内間拓馬の「気持ち」はまた別の話だ。だからZOZOマリンスタジアムで行われた12球団合同トライアウトでも投げた。 「どこかが痛かったりとか、何かケガをしたのであれば、野球は辞めてもいいかなと思いますが、僕はケガしない強い体を評価されてプロに入ったわけで。まだ僕のストロングポイントを出し切っていないので、やめるわけにはいかない、と思ったんです。 12球団合同トライアウトを受けた時点では、ジャパンウィンターリーグにも参加が決まっていたので、沖縄に戻ってました。今年は13カ国から140人も集まっていますが、野球という競技で140人もの選手が集まる機会はなかなかないと思うんです。自分の故郷でもありますし、メリットがありますね」 11月23日は、選手の身体測定が行われた。内間も様々なフィジカルデータを計測し、ブルペンにも上がった。キャッチボールをして、捕手を座らせて1球目を投げると、捕手が「うわ、ホップする!」といってボールを逸らせた。やはり内間のボールは、参加者の中でも別格だった。 ブルペンを上がって内間は気持ちよさそうな表情になった。翌日24日の開幕戦では、U23中国代表チームを相手に先発することになっていた。 「今年1年に限っては、先発は1回もしていないのでできるかどうかはわかりません。ただ相手は中国代表ですし、プレミア12に出場している元の同僚や仲間が、日の丸を背負って投げているのと同じ気持ちで投げたいと思います」 そして迎えた11月24日、オープニングセレモニーに続いて行われた開幕戦、内間は先発して5回を73球、被安打2(二塁打1本)で零封し、勝利投手になった。