日本の「高校卒業後、すぐ大学へ」「新卒一括採用」は、世界では珍しい?フィンランドと日本の大学・就職制度の違いを解説
国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が2024年に公表した「世界幸福度レポート」によると、フィンランドの幸福度は1位で、首位は今回で7年連続だそう。フィンランド・ヘルシンキ大学非常勤教授の岩竹美加子さんいわく、「フィンランドの学校には、自分の人生観を育むための知識と教養を得る『人生観の知識の授業』がある」とのこと。そこで今回は、岩竹さんの著書『フィンランドの高校生が学んでいる人生を変える教養』から、一部を抜粋してご紹介します。 【書影】自分だけの答えを探す独自の授業から、幸せに生きるヒントを探る。岩竹美加子『フィンランドの高校生が学んでいる人生を変える教養』 * * * * * * * ◆フィンランドの大学入学者の平均年齢 教育を若い時に限らないのがフィンランドの特長だ。 日本では、高校卒業後すぐ大学に進学するのが普通で、大学は10代終わりから20代初めの若者だらけだが、それは国際的に見ると一般的なことではない。 2017年のOECDの調査で、日本の大学入学者の平均年齢は18歳、最年少である。 フィンランドでは、2000年代初めまで大学入学者の平均年齢は20代後半だったが、それは国際的に見て遅いことに気づいた。 そのため、あまり年数を置かずに大学進学することが奨励されるようになり、最近の大学入学者の平均年齢は23歳に下がった。 とは言っても、それは日本では大学を卒業し、就職している年齢になる。
◆いつ大学に行くかは自由 フィンランドには、高校卒業後すぐ大学進学、大学3年頃に就職活動開始、卒業後すぐ就職といったシステムがない。 いつ大学に行くか、どういう順序で生きるかは、自由な社会である。 ただし、国際的な競争が激化しており、政府は大学進学を希望するなら、高校卒業後、あまり間を空けずに大学に入学することを奨励するようになった。 こうした変化は、経済効率を重視する新自由主義の影響を示している。
◆大学は自立した学習者のためのもの フィンランドの大学は、日本の大学と違って、とても緩やかな機関である。 建築的にも、門があったり、壁で囲まれていたりするわけでは必ずしもなく、街中に他の建物と混ざっていることが多い。 また1年生、2年生、3年生、4年生という区分がなく、それぞれの学年用のクラスもない。 自分の都合やスケジュールに合わせて、いつ何を取るかを決めるのが普通だ。ただし、日本に比べると提供されるクラスの数は少ない。 4年生で卒業するという決まりもないが、最近は、入学から6年以内に学士を取得することが奨励されている。 フィンランドの大学は、高校までにいかに学ぶかを学んで身につけ、その後は自立した学習者として学んでいくという考え方が基本になっている。 歴史的に、大学は修士を取得する場所だった。学士も出すようになったのは、2000年代初め頃からである。 従来、修士取得までに年数がかかりすぎていたこと、諸外国では学士も正当な学位として認められていること等がその理由だ。
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