【激レア】メルセデス・ベンツとして誕生したにもかかわらず星を付けることは許されない チューニング界の最も輝く星「アローC1」でのドライブ!
シュトゥットガルトで開催される「レトロクラシックショー」への出展が決定したものの、時間的余裕はほとんどない。リアライトが完璧にフィットしていないことや、リアのプレートがわずかに傾いていること、さらには、オーディオシステムの欠落や計器盤の不備からも、そのことが明らかだ。新しい計器クラスターの納品が遅れたため、スピードメーターやその他の計器は当初、接着剤で取り付けられただけだった。ハーンは、オリジナルのシートや旧型のステアリングホイールを入手できなかったため、内装を完全に作り直さなければならなかった。フェア開催に間に合うように、「アローC1」には赤いストライプが2本入れられた。 「レトロクラシックショー」では、80年代と90年代のチューニングカーのアイコンを集めた特別展示で最も注目された一台となった。そして、審査員は、この車を「ベストカー」に選んだ。 80年代当時でも、スタイリングガレージの車を屋外で見ることはほとんどなかった。ほとんどの車が世界中でコレクションの一部となっているためだ。シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州のグートカーデンで、クリス ハーンと「アローC1」の試乗の約束をしている私たちにとって、これほど嬉しいことはない。 赤いストライプは、リビルドされた際に再現されることはなかったが、この車はどこから見ても印象的だ。特にガルウィングドアが開いているときは、まさにその通りだ。クリス ハーンは油圧装置とロック機構を交換した。ドアハンドルを軽く引くだけで、ドアは数秒で開く。すると、鮮やかな赤色のレザーインテリアが現れる。ドライバーの正面にはデジタルメーター、助手席側にはパイオニア製オーディオシステムが備えられている。センターコンソールには、2つの大きな赤いプッシュボタンが目を引く。このボタンを押すとドアが閉まる仕組みになっている。
クリス ハーンは、自慢の車をなかなか手放そうとしなかったが、この「アローC1」はコレクターの手に渡り、その価値は現在、約60万ユーロ(約1億円)と見積もられている。そこで、オーナー自らエンジンを始動させる。V8エンジンからは、231馬力以上のパワーが感じられる。これは驚きだ。なぜなら、SGSではエンジンチューニングは提供していなかったからだ。「ちょっとしたマフラーチューニングをした」と、クリス ハーンはにやりと笑う。「それが私のチューニングだ」。 「アローC1」のパワーと性能は、並外れたものではないが、この車にとっては、それらはあくまで二次的なものだ。多くの車は高速で走れるが、この黒いガルウィングのような派手な演出ができる車は他にない。この車が注目を浴びないわけがない。ハーンは、カスタマイズした高級車を「インディアンカー」と呼ぶが、プライベートでは一度も運転したことがないそうだ。「私は車マニアではなく、良い車を持ったこともありません。私にとって車は、目的を達成するための手段に過ぎません」と彼は説明する。 「時々、ドアを開けたまま運転したいと思うことがあります。その場合は、ドアオープナーを操作するだけです。ドアがすぐに上に開きます」とハーンは語る。ドアを折りたたみ、ポップアップ式ヘッドライトを装備した「アローC1」。停車中は見事な外観で、走行中はさらに目を引く。これ以上のものはない。車庫に戻ると、ドアハンドルにある、目立たない黒いボタンを押すだけで、ドアがロックの位置に戻る。
最後に、ハーン氏は、首長たちとの取引、特許、そして世界中のコレクションの一部となっている彼の車について、少しだけ語ってくれた。現在、SECをベースにしたシューティングブレークを計画しており、新しいガルウィングの製作も予定していると言う。80年代には、SGSモデルの成功により57台が生産された。彼の最新プロジェクトもガルウィングのルールに例外ではない。クリス ハーンは、「ポルシェ911タルガ」の最新世代にこのドアを採用している。彼にとって不可能なことなどない。
Michael Struve
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