なぜ森保JはW杯グループリーグで対戦予定のない南米勢の強豪ブラジルとの強化試合を交渉しているのか?
ヨーロッパ視察中の日本代表・森保一監督(53)が11日、拠点とするドイツ・デュッセルドルフからオンライン取材に応じ、日本国内で行われる6月の国際親善試合の対戦相手として、FIFAランキング1位の強豪ブラジル代表と交渉していると明かした。 今年11月に開幕するワールドカップカタール大会出場を決めている日本は、1日に行われた組み合わせ抽選会で優勝経験のあるドイツ、スペイン両代表と同じグループEに入った。本番へ向けた最高の腕試しとして、森保監督は「FIFAランキング上位の強豪国と対戦したいと常々お願いしていた」とブラジル戦の実現を熱望した。 ブラジルとの対戦成績は2分け10敗で、直近ではハリルジャパン時代の2017年11月にフランス・リールで行われた国際親善試合で1-3と完敗した。日本国内に限ればトルシエジャパン時代の2001年6月に、県立カシマサッカースタジアムでスコアレスドローを演じたコンフェデレーションズカップが最後になっている。
「対戦が決まれば嬉しい」
カタール大会の抽選を終えた直後から、一部スポーツ紙で報じられていたブラジルとの対戦構想。オンライン取材で状況を問われた森保監督は「最終的に決まったとは聞いていない」と前置きした上で、日本サッカー協会(JFA)の動きを明かした。 「6月の試合はブラジルとの対戦も考えてマッチメークの交渉をしていると聞いている。できるのであれば、FIFAランキング上位の強豪国と対戦したいと(日本サッカー協会には)常々お願いしていた。対戦が実現すれば現場の選手やスタッフとしても嬉しい」 3月31日に更新された最新のFIFAランキングで、ブラジルはベルギー代表を抜いて約4年7ヵ月ぶりに1位へ返り咲いた。森保監督が望むランキング上位勢のなかでも頂点に位置する強豪国だが、同時に素朴な疑問も頭をもたげてくる。 ワールドカップ本大会をみすえて強化試合を組む場合、グループリーグでの対戦が決まった国をまず想定する。しかし、日本が入ったグループEはドイツとスペインのヨーロッパ勢に加えて、北中米カリブ海4位のコスタリカ代表とオセアニア1位のニュージーランド代表による大陸間プレーオフの勝者であり、南米勢はいない。 それでもブラジルとのマッチメークに動いている背景には、国際親善試合を巡る世界的な情勢の変化と、ワールドカップカタール大会の特殊な開催事情がある。 前回のワールドカップロシア大会後に、ヨーロッパサッカー連盟(UEFA)は独自の国際大会を創設。ウクライナへの侵攻で資格を一時停止されているロシアを除いた、54の代表チームによるネーションズリーグの第3回目が6月にスタートする。 最大4試合を組める次回の国際Aマッチデー期間だけでなく、カタール大会前で最後となる9月の国際Aマッチデー期間もすべてネーションズリーグの日程が入っている。ヨーロッパ勢との国際親善試合を組めなくなった状況は今後も変わらない。 さらに北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)も2019年にネーションズリーグを創設。第2回目が6月にスタートし、カタール大会出場を決めているカナダ、メキシコ、アメリカ各代表は、次回の国際Aマッチデー期間の後半から参加する。