なぜ森保JはW杯グループリーグで対戦予定のない南米勢の強豪ブラジルとの強化試合を交渉しているのか?
6月2日に札幌ドーム、同6日には改修後で初めて日本代表戦の舞台となる国立競技場での開催が決まっているキリンチャレンジカップの相手は、強豪国を望む場合、必然的に選択肢が大きく限定される。そうした状況でブラジルとニーズが合致した。 南米予選を1位で突破し、すでに22大会連続22度目のワールドカップ出場を決めているブラジルだが、同2位で突破したアルゼンチン代表戦が未消化となっている。 ブラジルのホームで昨年9月に一度キックオフされたが、イギリスからの渡航者を14日間隔離するブラジルの新型コロナウイルス規則にアルゼンチンの選手4人が違反。ブラジル保健局の職員がピッチに入って試合を中止させた。 両国にとっては消化試合になるが、国際サッカー連盟(FIFA)は再戦を指示。これが6月に中立地オーストラリアで開催される予定で調整されていて、ブラジルはその流れで日本、韓国、カタールとアジアツアーを組むプランを練っている。 世界的に人気が高いブラジルは、国際親善試合に関してはホームよりも、対戦国や開催国のサッカー協会から高額な出場費を得られるアウェイで開催する傾向が強い。日本との直近の国際親善試合2戦も、フランスとシンガポールでの開催だった。 ヨーロッパ勢と強化試合を組めない状況はブラジルも例外ではない。貴重な強化の場となる6月シリーズを、オーストラリアを皮切りにカタール大会へ出場するアジア各国をツアーに当てるプランは、同じ国際Aマッチデー期間に同一大陸以外で国際親善試合をマッチメークできないFIFAの規約に照らしても理にかなっている。 カタール大会へ向けて、当然ながらFWネイマール(30、パリ・サンジェルマン)やFWヴィニシウス(21、レアル・マドリード)、MFカゼミーロ(30、同)らの主力を招集すると考えられる。実現すれば約4年7ヵ月ぶり、日本国内での対戦に限れば実に21年ぶりとなるブラジルとの対戦へ、森保監督はさらにこう続けた。 「日本のサッカーファンにとっても、嬉しい対戦になるのではないかと思っている。サッカーになかなか興味が持てない方々にとっても、あるいはサッカーを知らない人にとっても、ブラジルは名前のわかる強豪国。ライト層にも興味を持っていただけるような対戦になると思うので、決定して実現することを願っている」 ヨーロッパの2022-23シーズンの真っ只中に開催されるカタール大会は、これまでのワールドカップと大きく異なり、大会前に十分な準備期間を確保できない。 ヨーロッパ各国では、11月21日の本大会開幕直前までリーグ戦が組まれている。日本は明治安田生命J1リーグを11月5日で終え、国内での短期キャンプをへて、カタールの首都ドーハで申請しているベースキャンプ地でヨーロッパ組と合流する。