なぜ神戸のFW大迫勇也は「いまのままではW杯メンバーに選ばれない」と注目発言をしたのか?
森保ジャパンで攻撃の軸を担ってきたFW大迫勇也(31、ヴィッセル神戸)が9日、ワールドカップカタール大会での日本代表入りへ向けた危機感を露にした。 ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(64)を迎えた新体制の初陣となる、10日のセレッソ大阪との明治安田生命J1リーグ第8節(ノエビアスタジアム神戸)へ向けたオンライン取材で「率直に言って、いまのままじゃ選ばれないかなと感じている」と明言。リーグ戦で無得点が続く現状は代表に見合わないと自らにダメ出しした。 開幕から4分け5敗と不振にあえぐ神戸もJ2降格圏の17位に低迷。J1リーグ戦における開幕連続未勝利の不名誉なクラブワースト記録を、従来の「5」から「9」へ実に23年ぶりに更新し、わずか20日の間に指揮官が2度も交代した混乱の責任も背負いながら、神戸と自身の未来を切り開く初ゴールをセレッソ戦で狙っていく。
「結果も出ていない。この状況を少しでも好転させたい」
質問の前提になっている部分をあえて否定した。 新体制での初陣となる、10日のセレッソ戦へ向けた大迫へのオンライン取材。スペイン出身のロティーナ新監督を迎えた神戸に関する質問に加えて、本大会での組み合わせが決まったカタールワールドカップへ向けた質問が切り出された。 ワールドカップ優勝経験のあるドイツ、スペイン両代表とグループリーグで対峙する思い。その上で11月21日に開幕する本大会へ向けて、個人として何をしなければいけないのか。代表メンバー入りを踏まえた問いに、大迫は迷わずに即答した。 「率直に言って、いまのままじゃ(代表に)選ばれないかなと感じている」 大迫が危機感を露にしたのは、リーグ戦における自身の軌跡に対してだった。 前節まで7試合に出場し、そのうち6度で先発。ちょうど600分に達したプレー時間のなかで15本のシュートを放つも、一度もゴールネットを揺らせていない。 右脚裂傷で2試合を欠場しながら、それでも攻撃陣で最も長くピッチに立ってきた。ゴールのみがフォワードの指標と誰よりも理解しているからこそ、無得点が続く現状は代表にふさわしくないと言い切った。大迫はさらにこう続けている。 「僕自身、結果も出ていないので、まずはこの状況を少しでも好転させたい」 ドイツ・ブンデスリーガ2部のヴェルダー・ブレーメンから8月に加入し、大きな期待が反映された「10番」を背負った昨シーズンも、産みの苦しみを味わわされた。 新天地・神戸で待望の初ゴールを決めたのはデビューから6戦目、10月2日の浦和レッズ戦だった。その後は再び精彩を欠いたが、最後の4試合で3ゴールをゲット。上向きに転じた理由は、同じタイミングでニューカッスル・ユナイテッドから神戸へ加わり、終盤戦では2トップを組んだ元日本代表の武藤嘉紀(29)の存在だった。 武藤との完璧なコンビネーションから豪快なゴールを決め、神戸をクラブ史上最高の3位へ導いたサガン鳥栖との最終節後に、大迫はこんな手応えを明かしている。 「試合を重ねるごとに、武藤との関係はすごくよくなっていると思う。2人ともさらにレベルアップして、新しいシーズンに臨みたい」 迎えた今シーズン。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)とスケジュールが重複する関係で3月2日に前倒し開催された、横浜F・マリノスとの第10節で武藤が負傷退場。左ひざのじん帯損傷で最大10週間の長期離脱を余儀なくされた。 さらに大迫までがマリノス戦で右脚に裂傷を負い、続くサンフレッチェ広島戦、鹿島アントラーズ戦を欠場。神戸は前者と引き分け、後者には完敗を喫している。 「やっぱり勝ちたいし、このチームで結果を出したい。それだけですね」 大迫が胸中に秘め続けた熱き思いは、ホームにメルボルン・ビクトリー(オーストラリア)を迎えた、3月15日のACL東地区プレーオフで具現化されている。 患部の抜糸を済ませていない状態でスクランブル先発した大迫は、延長戦を含めた120分間でフル出場。後半に連続ゴールを決めるなど、死闘を4-3で制し、2シーズンぶりにACL本大会出場を決めた神戸の中心で雄叫びをあげた。