楽天ドラ6 BC茨城・陽柏翔 走攻守そろった逸材 目標は「シーズン200安打&50盗塁」
【目指せ!イチロー&由伸 24年ドラフト下位指名】杜の都に台湾からスター候補生が加わる。楽天からドラフト6位指名を受けたBC・茨城の陽柏翔(ヨウ・ボウシャン)内野手(19)は、50メートル走6秒0で走攻守三拍子そろった遊撃手。日本ハムなどで活躍し、13年に盗塁王を獲得した陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)の親戚にあたる新鋭が、新たな日台の架け橋となる。 まだあどけない表情とは裏腹に、力強い言葉でプロへの第一歩を踏み出した。7日に茨城県笠間市で行われた指名あいさつで、陽は「一日でも早く1軍に上がって、自分の力でチームに貢献したい」と意気込んだ。 野球を始めた小3の頃から追いかけてきた背中がある。日本ハムなどで活躍し、親戚でもある陽岱鋼。野球中継ではひときわ輝いて見え「顔も格好良いし、体も大きい。そういう選手になりたい」とNPB入りを夢に描いてきた。 本来は中学卒業直後の21年に来日予定だったが、コロナ禍のため断念。1年遅れて22年春に明秀学園日立に2年で編入した。「勉強は嫌いです」と苦笑する陽は当時、日本語を全く話すことができなかった。それでも夢のNPB入りへ向け、ホームシックになることもなく、懸命にバットを振り続け、卒業後に所属したBC・茨城で活躍。高卒1年目でスカウトの目に留まった。 50メートル走6秒0で、走攻守三拍子そろった左打ちの遊撃手。1メートル73、76キロと決して体は大きくないが「フルスイングが持ち味。(シーズン)200安打を打ちたいし、50盗塁もしたい」と大きな目標を掲げる。 チームには、9年目を終えた宋家豪(ソン・チャーホウ)ら3人の台湾選手が在籍。「一緒に頑張りたい。(宋は)有名な選手。これからどうやってプロでやっていくか、教えてほしいです」と笑った。憧れの陽岱鋼は14日に行われた12球団合同トライアウトを受けるなど、37歳になった今も現役を模索している。「会ったらバットとスパイクをもらいたい」と夢に描く初対面が、スターのバトンを受け取る瞬間になるかもしれない。(花里 雄太) 《高い身体能力 同じ遊撃ドラ1宗山に負けん!》ドラフト会議のわずか3週間前。10月1日の巨人3軍戦で、田村から放った一発が陽の運命を変えた。担当の部坂俊之スカウトが春先の西武3軍戦を視察した際に「いいじゃないか」と素質を感じ、この日は後関昌彦スカウト部長を含む数人で視察。「他球団もあまり来ていなかった。ジャイアンツ戦で打つという勝負強さを見られたので“じゃあ、指名しよう”となった」と明かした。 チームは「20年に一人の逸材」といわれる明大・宗山をドラフト1位で獲得。本職は遊撃でポジションが重なるが、部坂スカウトは「正直、評価的には宗山くんが一番ですけど、プロは実力の世界。陽は身体能力が高い。内野の守備のうまさと肩の強さ、足の速さに打撃力もある。活躍してくれたらうれしい」と期待を口にした。 ◇陽 柏翔(ヨウ・ボウシャン)2005年1月23日生まれ、台湾出身の19歳。小3から野球を始め、桃源中を経て22年春に来日し、明秀学園日立に2年で編入。同年夏にチームは甲子園出場も、ベンチ入りを逃した。今春に入団したBC・茨城では遊撃のレギュラーとして54試合に出場し打率.250、0本塁打、20打点、21盗塁。1メートル73、76キロ。右投げ左打ち。