家業を手伝う娘に「はい、今月のアルバイト代」⇒税務調査官「追徴課税です」…地元で細々やってきた60代・自営業夫婦の“致命的ミス”【税理士が解説】
税務調査で「娘の給料」が否認された理由
田中さん夫妻が娘に支払っていた給与が否認された理由は、娘が大学生であり、専ら(もっぱら)家業に従事していなかったことにあります。 ----------------------------------------------------- 1. 専ら従事していなかったこと: 娘は大学に通いながら家業を手伝っていたため、その労働時間が不十分とみなされました。専ら従事していると認められるためには、年間を通じて6ヵ月以上、その事業に専念している必要があります。しかし、娘の勤務実態はこれに該当せず、アルバイト的な働き方であったため、専従者としての要件を満たしていませんでした。 2. 適切な記録の不足: 娘の労働時間や業務内容の記録が不十分であったため、専従者としての実態を証明することができませんでした。専従者給与を認めてもらうためには、日々の業務内容や労働時間の詳細な記録を保持し、税務調査時に確実な証拠を提示する必要があります。 -----------------------------------------------------
「家族への給与支払い」を経費計上できる条件とは?
所得税法では、個人事業主が生計を一にする家族に支払った給与は、原則として必要経費として認められません。しかし、青色申告を選択している場合、一定の条件を満たせば、家族への給与支払いを経費として計上することが可能です。 以下に、青色申告で「青色事業専従者給与」として家族への給与を経費計上するための要件をまとめます。 ----------------------------------------------------- 1. 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること: ⇒家族が同じ家計で生活していることが条件です。 2. その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること: ⇒給与を受ける家族が15歳以上である必要があります。 3. その年を通じて6月を超える期間、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること: ⇒家族が年間を通じて6ヵ月以上、その事業に専念していることが求められます。 ----------------------------------------------------- これらの要件を満たすことで、青色申告をしている個人事業主は、家族への給与支払いを経費として認めてもらうことができます。また、給与の金額や支払い時期などを税務署に届出することも必要です。これは、「青色事業専従者給与に関する届出書」として事前に提出しなければならない重要な手続きです。