「ライフワークは災害支援」能登からウクライナまで、世界の被災者のために奔走する建築家・坂茂氏【世界文化賞】
めざせイタリア! 日本の避難所改革を提言
坂さん: 日本では避難所の運営は、被災者である地元の人たちがしていますが、これはおかしいです。食事が冷たいものだけのところもあります。イタリアでは、避難所の運営は普段から有償でスタッフを教育し、災害が起きるとその人たちが有償で被災地に送られていく。避難所にはキッチンカーが来て、食堂が仮設で設営されて、おいしい温かい食事がふるまわれるのです。ボランティアの人たちにも「どうぞ食べていってください」と声がかかります。こうしたスタンダードが統一され、全部パッケージになっているのです。これを日本で実現しないといけないと思っていて、何とか新たな日本の避難所のシステムを築き上げたいと考えています。 坂さんは内閣府に「イタリアに一緒に視察に行こう」と呼びかけているという。防災庁の設置をめざすのであれば、ぜひ日本政府に、世界の被災地事情を知る坂さんの提言に耳を傾けてもらいたいものである。 第35回高松宮殿下記念世界文化賞」の授賞式は11月19日、東京都内で開催される。
勝川英子