辰吉Jrの2度目“聖地”登場は不完全燃焼の2回負傷ドロー…父は「モノは考えよう。対左の経験積んだと思えばええ」と慰める
ボクシングの日本スーパーバンタム級8位の辰吉寿以輝(24、大阪帝拳)が6日、後楽園ホールでWBO世界フライ級新王者となった中谷潤人(22、M.T)の世界戦のセミファイナルで、今村和寛(28、本田フィットネス)とノンタイトル8回戦を行い、2回終了間際に偶然のバッティングにより左目上をカット、2分59秒、負傷引き分けとなった。プロ14戦目にして初のサウスポーとの対戦。父の元WBC世界バンタム級王者の辰吉丈一郎(50)も世界王者時代にサウスポーとの指名試合で同じく左目上を切って負傷判定となったことがある。たった2ラウンドだったが、父は課題を指摘しながらも「モノは考えよう。ドローでキャリアを積んだと思えばええ」と、珍しく落ち込む我が子に労いの言葉を送った。辰吉の戦績は14戦13勝(9KO)1分け。来年は傷の完治を最優先させた上でタイトルを狙っていくことになる。
「こんな結果でふがいない」
これも偉大なる父の遺伝子なのだろうか。 「今からエンジンがかかるところだった」 辰吉いわく、サウスポーを攻略できるか、できないか…その見極めが始まったばかりの第2ラウンド終了間際にアクシデントが起きた。突っ込んできた今村の頭が左フックで応戦しようとした辰吉の顔面を直撃。左目の上。眉の端あたりをザックリとカットしてしまったのだ。つつつと血が頬を伝って流れ、胸あたりも流血で真っ赤になるほどの出血。ゴングと同時にレフェリーはドクターチェックを要求、傷が酷かったため、すぐさまストップが宣言された。 大阪帝拳の吉井寛会長によると「ちょっと深い。幅も7、8センチ」という深手。規定のラウンドに達していなかったため、偶然のバッティングによる負傷ドローとなった。辰吉は、なんとも言えない表情を浮かべたまま、四方に頭を下げてリングを降りた。リングサイドの最前列にいた青色のジャージ姿の父が、ひとこと声をかけたが、目を合わせただけで控室へ戻った。 “聖地”後楽園ホールに登場したのは、2016年のモンキー修平(大星)戦以来、4年ぶり2度目。その試合は5回TKO勝利しているが、初回に不覚にも初のダウンを味わっている。2度目の“聖地”登場が不完全燃焼に終わり辰吉も悔しさを隠さなかった。 「こんな結果で、ふがいない。いろいろ練習もしてきたのに」 今回の試合は、先を見据えたものだった。 「まだ1試合もサウスポーとやっていない。今後、上へいくなら相手がサウスポーっていうこともある。避けて通れない道」(吉井会長)との判断でマッチメイクされた。