人が集中して話を聞けるのは〈4秒〉まで…“相手に伝わらない”を回避する「飽きられない話し方」の極意【大東文化大学名誉教授が解説】
オノマトペで「体験」を共有する
「オノマトペ」はフランス語由来の外来語です。「擬音語」「擬態語」の総称ですが、フランス語では約600語、英語では約1,500語が辞書に載っていると言われています。それに対し、日本語には約4,800語以上あり、一般的に「日本語はオノマトペが多い言語」のようです(ただし、数千語のオノマトペを持つ言語は世界各地にあります)。日本語でのコミュニケーションにおいて、オノマトペを使いこなすことは、語彙力を高める上でも無視できません。 日本語にオノマトペが多いのは、日本語の動詞が「動く」「見る」などその行為事態しか表さず、「私が」「あなたが」など主語が違っても同じ動詞を用いることも理由の1つとされています。「バタバタ走る」「意外にノロノロした走り」「ジッと見る」「ジーッと見る」など、どのような状況や度合いなのかを伝えるためにはオノマトペが有効なのです。 また日本各地の気候の違いや、天災の多い環境であったため、その緊急度や危険の大きさ、切迫差を伝え共有し合う必要性から多様なオノマトペが生まれたと考えられています。 そのため、時代を表す言葉としてもオノマトペが使われます。従来と異なる子どもの命名に新しさや場合によっては批判の意図も込めた「キラキラネーム」。質感に気持ちも重ねた「モフモフ」。「トロッとしたキトキトの濃厚スープがツルツルの麺にからむ」や「フワッフワの食感」「ヒリヒリする辛さ」など食べたことがなくても体感できる味覚の表現も、豊富なオノマトペが共有されているからこそ成り立ちます。視覚や食感まで再現し、五感を刺激するため深い理解が得られるのです。 インバウンド観光客の多くは日本語が話せませんが、日本食の魅力を楽しむのと同時に「モチモチ(の食感)」「キンキン(に冷えたビール)」「フワフワ(の綿菓子)」などを、美味しさを表す言葉として理解しているようです。 自分が感じていることを相手に「伝える」ためには、オノマトペを添えることも意識してみましょう。会話全般が「そこはギューンとした勢いで、ズバッとやればいい」では、ビジネスの場にはそぐわないものとなりますが、提案書の見出しや効果予測等の説明に使うことで、やわらげた表現、リアルな実感を伝える効果が得られます。 オノマトペは「互いに共有できる表現」であればこそ、使う意味がある言葉です。ここでもいざ使う際には、「調べる」「理解する」「誤用しない」のチェックが必要です。 【ポイント】 ●日本では、より具体的な体感を共有するために、たくさんのオノマトペが生まれた。 ●説明を理解するだけでなく、オノマトペにより五感が刺激され、よる深い体験の再現性が得られる。