高齢者を食い物にする《あぶない片付け業者》を見抜く10の方法…「すぐ家に来たがる」「なんでも回収する」この言動が危険です
詐欺業者の特徴
詐欺にあわないためには、怪しい片付け業者を見抜く目を養う必要がある(最終ページ表参照)。以下、順番に見ていこう。 多くの業者が「無料見積もりだけでも可能」と宣伝を出しているが、そのなかで(1)すぐに家に来たがる業者は要注意だ。 「不要な家具や家電を回収するというのは、家に上がるための口実。こういった業者の本当の目的は、価格が上昇し続けている金をはじめとした貴金属を安く買い叩くことです」(同前) (2)アポなしで訪問してくる業者は論外だ。特定商取引法には、自宅訪問は事前の承諾が必要とある。突然、家に来る業者には問題があると考えられる。 では、価格面ではどうだろうか。高すぎても安すぎても問題だが、とくに(3)無料回収を謳っている業者は危険だ。彼らも不用品の回収ではなく、貴金属を買い叩くことが目的の場合が多いので、家に上げてはいけない。 ネット広告やポストに投函されたチラシを見てみると、超格安で不用品回収を請け負っている業者は少なくない。安い値段に飛びつくと、痛い目を見ることになる。買い取り一括査定サービス「ウリドキ」を運営する前出の木暮氏が解説する。 「不用品回収や出張買い取りは移動費、人件費などがかかるので、いくら以上でないと利益が出ないという金額があり、ノルマが設定されています。ですから、健全な業者だったら、見積もり段階で所定の金額に達しないと想定される場合は、『ほかにも回収できる商品があればお伺いできますが、そうでない場合はお伺いできません』と事前に言うはずです。 出張査定は広告費を含めて一軒当たり1万円以上のコストがかかる。見積もりが安価なのに、『行きます』と言う業者は他に狙いがあると思ったほうがいい」
高齢者がカモにされる
杉並区で一人暮らしをしている河野雅代さん(仮名・78歳)は、格安の値段に釣られてトラブルに巻き込まれてしまった。 '22年に夫を心不全で亡くしたことをきっかけに夫が使っていた高さ2mほどのタンスと本棚、ベッドの処分を決めた。夫の寝室は2階で、とても運び出せないし、郊外に住む息子を頼るのも気が引ける。ポストにチラシが投函されていた片付け業者に依頼した。 「チラシには軽トラックに詰め込める分だけ回収して、8800円と書いてありました。 当日やってきたのは、30代ほどの男性2人。どちらも普段着のような格好で来たので変だなと思いましたが、淡々と事前に見積もりを出した家具を運び出してくれました。 けれど、最後に請求された額は5万円。理由を聞くと、『8800円は1人で伺った場合の回収料で、2人分の作業量、遠方出張料、ベッドの解体料、2階からの運び出し料を加算した』と言ってきました。到底納得できずに反論したら、『では、運び出したものはここに置いておくしかないですね。もう一度、運び入れるなら追加料金がかかります』と言われました」 荷物を軒先に置いておくわけにもいかないし、もう一度、家に戻すのも馬鹿馬鹿しくなり、河野さんは請求された料金を払うしかなかった。 後日、息子にチラシを確認してもらうと、驚きの事実が判明した。チラシの右端に〈価格は一例。現場の状況に応じて追加料金がかかります〉と(9)小さな文字で書かれていたのだ。視力が衰えた高齢者には到底読めない大きさで、詐欺目的であることは疑いようもない。