「高級車に乗る人」が危険な運転をしがちな理由 権力のある人は自分を抑制する力を失いがち
■権力は人を自己中心的にする 権力についてのケルトナーの研究は、明確な作用を浮き彫りにする。権力のある人は、自分を抑制する力を失う傾向にある、というのがそれだ。「権力に酔う」というのは、まさに打ってつけの描写だ。 権力があるという感覚を強められた人は、他者にどう思われるかは、あまり気にしなくなる。他者の心をうまく読めなくなる。他者に共感する必要を、それほど感じなくなるからだ。彼らは、規則は自分には当てはまらない、と感じはじめる。
ケルトナーは、こう説明した。「より大きな権力を享受する人々は、衝動的に食べたり、性的な関係を持ったり、交通規則を破ったり、噓をついたり、騙したり、万引きをしたり、子どもからキャンディを取り上げたり、失礼な口や、下品な口や、無作法な口を利いたりする可能性が高い」。 「権力は腐敗し、絶対的な権力は絶対的に腐敗する」と述べたアクトン卿は正しかったのだ。 (翻訳:柴田裕之)
ブライアン・クラース :ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン准教授