「後輩に道を譲りたい」野口飛行士がJAXA退職会見(全文1)
今後は一民間人の立場で宇宙に関わりたい
野口:はい、分かりました。理事、どうもありがとうございます。皆さん、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。1996年の6月に宇宙飛行士として選抜されて以来、26年間皆さんにいろいろな形で応援いただきまして、本当にありがとうございます。本日会場に来ていただいた記者の皆さんの中にはまさに、26年前選抜されたばかりの私を見ていただいた方もいらっしゃっていますが、そういう意味ではあっという間の26年だったかなと思います。皆さまからの応援もありまして、無事に3回の宇宙飛行を、無事に達成して生還してくることができました。 3回目のミッションを終えたころから、そろそろ後進の人たち、つまり今、搭乗を待っている後輩の宇宙飛行士、そして新たに選抜が始まった、これから選抜される新人宇宙飛行士たちに道を譲りたいと考えるようになりまして、今回の退職の決断になりました。 今回、会場に来ていただいているメディアの方には、私からのあいさつ文として、印刷物お配りして、最初のところに書いてありますけども、「功成り名遂げて身退くは天の道なり」と、老子のお言葉ですね。最近はやりの『キングダム』より500年以上前の話ですけれども。やはり、そういう時代から1つのことを成し遂げたら、次の人のために身を引いていくのが正しいやり方であるというところで、今回の決断の1つのきっかけになった言葉でした。 今後は、JAXAを離れて研究機関などを中心にして、一民間人の立場で、この宇宙に関わっていきたい。民間人として、この宇宙を盛り上げるところに協力していきたいとともに、やはりわれわれの未来をつくってくれるのは今の子供たちであると。次世代を担う子供たちに新しい希望の未来、未来圏への熱い気持ちを持ってほしい。そういう人たちを育成していくお手伝いができればいいなと思っております。
本当に26年間、温かく育てていただいた
あらためまして、この26年間、まずは家族に感謝して、そしてこの26年間育てていただいた、NASA、そしてJAXAの皆さんに感謝して。今日、あらためて本当に久しぶりにこれだけのメディアの皆さんに集まっていただいて、皆さまを通じてやはり、国民の皆さまにお話ししていたんだなと。メディアの皆さんにも、そういう意味では本当に感謝しています。 JAXAの宇宙飛行士、これまでも何人もいますけれども、おそらく、私ほどメディアを愛した宇宙飛行士はいなかったであろうと。メディアにも愛されていたと一方的に思っていますけれども、皆さんの、まさにそのカメラの向こう側に、国民の皆さまが見ていただいて、皆さんが書くペンの先に、国民の皆さまの情報源があると常に意識してきて、そういう意味では本当に皆さまからは、時には厳しいご指摘もありましたけれども、本当に26年間、温かく育てていただいた。 おそらくこういう形で記者会見出るのは今日が最後だと思いますので、あらためてこの26年間、温かく育てていただいたメディアの皆さんにあらためて感謝したいと思います。これまで、どうもありがとうございました。 司会:野口さん、ありがとうございました。それでは皆さまからのご質問をお受けしたいと思います。ご質問のある方は挙手をいただきまして、前方のほう、サイドにありますマイクのどちらかにお進みいただき、ご質問をお願いいたします。 本日、大変多くの皆さまにご参加いただいておりますので、質問は1回につき1問でお願いいたします。2つ以上質問のある方は、戻っていただいて、また手をあげていただくという形で、2回目の質問のほうはよろしくお願いいたします。 また、感染予防の観点からマスクは着用のままご質問をお願いいたします。それではご質問のある方は挙手をお願いいたします。はい、それではどうぞ。社名とお名前を名乗っていただければ。よろしくお願いいたします。