コロナ禍のいま、清志郎さんを思う デビュー50周年を迎えて【前編】
お客さんをいじるのが楽しくて。エグいことも言うけど愛情がある
― ライブで見た清志郎さんはどんな感じでした? タクオ タイマーズが復活した95年のツアー「不死身のタイマーズ」ではオウム真理教とか歌にしていたんですけど衝撃的でした。ほとんど新曲で行われ、清志郎が股間からフランスパン出したり(笑)。あと「サリン」という歌を「プリン」に替えて歌ったり。放送禁止の歌ばかりで「なんだこれは!」と。その後はソロで「ラフィータフィー」の「マジカデ・ミル・スター・ツアー」にも行きました。 呑太夫 長く見てるので都度、印象が違うんですけど「不死身のタイマーズ」の頃は阪神大震災で、清志郎さんも大阪でライブがあってホテルで寝てたんです。目が覚めたら非常事態で事務所と連絡がつかず、東京にも戻れず。地下鉄サリンも立て続けに起きて、自分が見てきたことをものすごい想像力でそのまま歌にしていましたよね。その後も事件が起きてはワイドショー見て1日で歌書いて。テレビで流れていたものも本当か嘘かわからないぐらい。「不死身のタイマーズ」を聴き直すと当事者の目で書いてて怖い感じすらあります。初期のタイマーズは昭和天皇崩御とかチェルノブイリ(原発事故)とかあったりしてライブも学園祭を中心にゲリラ的に回って本気度がすごかった。20年以上前に歌っていたことがまた取り上げられる先見性と想像力がすごい。 志和 清志郎さんがお客さんをいじるのが楽しくて。エグいことも言うけど愛情があるんですよね。そして言葉のセンス。日本語をメロディーに乗せてこんなに様になるアーティストがいたんだなという衝撃。一つ一つの言葉は奇をてらってるわけじゃなく普通の言葉なんだけど、そこから紡がれる世界観が的確にイメージされるんですよ。あとボーカルも含めてすごく情感があって。ライブ空間でわかったことは、ファンも優しくて一体感があって大きな愛に包まれて…。 良子 お客さんいじりといえば、たしか「COVERS」を出す前、渋公で清志郎さんのお客さんいじりが面白くて。前のほうにいた女の子のグループに「なんだ、GWなのに彼氏もいねぇで寂しいやつらだな~」とか(笑)。 呑太夫 客いじり上手ですよね。愛があって、言われた側も「キャ~!」みたいな(笑)。ラブソングも多かったしプロテストソングもあるし、コミックソングも上手い間合いで入れてきて、そのバランスがすごい。ブレークした頃は契約問題でヘビーなブッキングもされて身体も壊していたらしいんですけど、そういうのも見せず。清志郎さんの声の出し方はかなり喉に負担かかると思うんですけどね。