制度が始まった途端、免税事業者に“逆戻り”するフリーランスが激増のなぜ、「インボイス制度」導入の背景
会社に縛られず、自分の裁量下で仕事を進められる「フリーランス」に転身する人が増えています。しかし、“自由な働き方”の裏で、さまざまな誤算に見舞われ、生活が立ちゆかなくなったり、買いたたきにより尊厳を奪われたりする事態も。安定的に稼ぐためにフリーランサーが知っておきたい「マネーリテラシー」とは――。 本稿では、フリーランス歴10年の文系ブックライターが、『YouTuber公認会計士がギリギリまで教える フリーランスになったらまっさきに読むお金と税金の話』を上梓した小山晃弘氏に、インボイス制度の基礎について聞きました。 【この記事の他の画像を見る】
■そもそもインボイス制度とは何か 郷和貴(以下、郷):小山先生、よろしくお願いします! まずは、インボイス制度について質問していいですか? 小山晃弘(以下、小山):もちろん。私も問い合わせはたくさん受けました。郷さんは登録されていますか? 郷:実は、制度がはじまったときアメリカに住んでいたので、まだなんです。結局のところ、インボイス制度ってなんですか? 小山:ものすごく簡単にいえば、「クライアントから支払われる消費税を自分の懐に入れないでね」という制度。
もう少し具体的にいうと「いままで消費税の納税を免除されていた売上1000万円を超えないフリーランスも、消費税を国に納める『課税事業者』になってね」という制度です。あくまでも任意ですけど。 郷:なぬっ! 反対のプラカードもって霞が関行ってきます! 小山:もうはじまっていますから(笑)。 郷:10%って、フリーランスにとってめちゃくちゃでかいですよ。年商500万なら50万。会社員のボーナスくらいあるじゃないですか。それを国が徴収しますという話ですよね?
小山:全額ではないですよ。業種によって納める税率は違いますけど、ライターのようなサービス業なら、ざっくり半分くらい(※)。 ※簡易課税を選択した場合 ■表向きは「税額や税率をきっちり把握するため」 郷:25万でもありえねぇ……。この制度が導入された「表向きの理由」はなんですか? 小山:現在、消費税は標準税率の10%と軽減税率(※)の8%が混在しているんですけど、税額や税率をきっちり把握するため、というのが表向きの理由ですかね。