制度が始まった途端、免税事業者に“逆戻り”するフリーランスが激増のなぜ、「インボイス制度」導入の背景
で、きっちり把握するための手段として導入されたのが「適格請求書」と呼ばれる請求書のフォーマット。「インボイス」とは「適格請求書」のことです。 ※外食と酒類を除く飲料食品、および週2回以上発行される新聞が対象 郷:へ? 私が出版社に請求書を出すとき、「消費税10%」ってちゃんと書いていますけど。 小山:請求者の「登録番号」を書かないと「適格請求書」とはみなしません、というルールになったんです。 郷:登録番号? あ、インボイス事業者として登録したら番号をもらうんですか?
小山:そうです。 郷:で、クライアントに送る請求書が「適格請求書」じゃないとなにが起きるんですか? 小山:ざっくりいえばクライアントが損をします。だからインボイス事業者として登録していないフリーランスはクライアントから敬遠されて、仕事が減るとか、値下げ圧力がかかるんじゃないかという不安があって、反対の声が上がったんです。 ■フリーランスが免税事業者に戻る現象 郷:実際、制度がはじまってみて、どんな感じなんですか?
小山:インボイス事業者に登録したフリーランスが免税事業者に戻るという現象が起きているみたいです。 郷:え!! じゃあ、私は免税事業者のままでいいです。以上、お悩み終了。 小山:まあ、それでもいいですけど(笑)、もう少し詳しく説明しておきましょう。 そもそも消費税とはなにかという話からしますね。郷さんが文房具屋さんで100円のペンを買ったら、消費税として商品の10%にあたる10円を上乗せしてお店に支払いますよね。私たちが日本国内で商品を買ったり、サービスを受けたりするときに徴収されるのが消費税ですから。
郷:薄~く、広~くかすめとる作戦。 小山:そういうこと。でも、消費者である郷さんが日々の買い物をすべて記録して、1年に1回、まとめて消費税を払うのは大変ですよね。だからその徴収を、文房具屋さんが代わりにやってくれているだけなんです。その10円は店主の晩酌代にしてもらうために支払ったわけではなく、国に納める税金として支払ったんです。 郷:そういわれてみるとそうだ。 小山:だから本来、消費税を受け取った事業者は、「消費税を一時的に預かっている」だけ。税金徴収の代行者として。