制度が始まった途端、免税事業者に“逆戻り”するフリーランスが激増のなぜ、「インボイス制度」導入の背景
郷:ということは……企業はちゃんと消費税を国に払っているんですか? 小山:年1回か、年2回、年4回、年12回でちゃんと払っています。で、こうやって預かった消費税を納税する事業者のことを「課税事業者」っていうんです。法人でもフリーランスでも、年間の売上が1000万円を超えた年の2年後は自動的に課税事業者になります。 郷:で、免税事業者は……。 小山:お客さんから預かった消費税を納税せず、売上として計上していいんです。こちらは逆に、年間の売上が1000万円を超えない小規模事業者が対象。小さな文房具屋さんなら、郷さんが支払った10円が店主の晩酌代になっている可能性は大いにあると(笑)。
■免税事業者に対して「間接的に圧力」 郷:ということは……国は「インボイス事業者」って格好いい名前をつけていますけど、実質的には「課税事業者」のことじゃないですか。 小山:そうなんです! ただ免税事業者の制度を強制的になくしたら自民党は選挙で落ちるだろうし、そうかといって、「国の予算がピンチなんです! みんな課税事業者になってください! ご協力お願いします!」って言ったところで免税事業者は聞く耳を持たないですよね。
郷:当たり前です(笑)。 小山:だから「インボイス制度」という、免税事業者に対して「間接的に圧力がかかる仕組み」を導入したと解釈すると、この制度の理解が進むと思います。 後編:インボイス制度を導入しないと損する職種があるってホント?
小山 晃弘 :税理士法人小山・ミカタパートナーズ代表/郷 和貴 :ブックライター