総選挙で惨敗…もはや歴史的役割が終わった創価学会・公明党と共産党、必然の「衰退の末路」
裏金問題で巻き添えを食ったわけではない
私は、ここのところ公明党の地方選挙の結果に注目してきた。地方選挙は4年ごとに行われるわけだが、公明党の候補者は選挙のたびに平均して10パーセント程度得票数を減らしてきている。 昨年6月、当時の岸田文雄首相が衆議院の解散に踏み切るのではないかと言われた。ところが、自民党が行った調査で、自民党は42議席減らすという予測結果が出たために、解散が先送りされた。その調査では、公明党は23議席にとどまると予測された。 今回の選挙結果は、そのときの予測を裏づけることになった。自民党はそれ以上に議席を減らしたが、公明党についての予測はほぼあたっている。これは、裏金問題に公明党が巻き込まれたことが退潮の原因でないことを示している。裏金問題が一気に表面化したのは、それから半年後の昨年11月のことだった。 池田大作氏が亡くなった翌日の昨年11月16日に、創価学会は『創価学会教学要綱』を刊行した。これは、創価学会の教えについて改めてまとめたものである。 そこに示された現在の創価学会の教えは、ひどく穏健なもので、かつてのように、自分たちの信仰が絶対に正しいという主張は完全に影を潜めている。私はそれを読んで、一般の日蓮宗の方がむしろ過激なのではないかという印象さえもった。 以前なら、創価学会の会員は、神社の祭にも参加せず、鳥居さえ潜らなかった。ところが、最近では、そうした会員は一部になり、公明党の議員も神社の祭で神輿を担いだりしている。それは、一般の地域住民と創価学会の会員を隔てる壁がなくなったことを意味する。 都市下層として恵まれない境遇にあった創価学会の会員は、かつては自分たちだけのコミュニティーを必要とした。しかし、創価学会の家庭に生まれた子どもも高等学校や大学に進学し、それなりの経済力を身につけるようになった。もはや創価学会という閉鎖的な集団に閉じこもっている必要はなくなった。 創価学会の存在意義が、新たな都市下層民を社会のなかに定着させていくことにあったのだとしたら、十分にその役割を果たしたとも言える。そうなると、日本社会にとっても、創価学会の会員にとっても、創価学会という組織は要らないものになってしまったのである。 ……・・ 【さらに読む】宗教団体票という麻薬~公明党との四半世紀の連立が自民党をここまで堕落させた
島田 裕巳(宗教学者・作家)