“戦国東都”のドラ1最右翼、西川史礁の将来像は? 目指すはセンターを守れる中田翔 勝負強さと弾道に漂う大器の雰囲気
そして牧、森下と比べて西川が上回っていると見られるのがホームラン打者らしい打球の弾道である。これまでリーグ戦で放った6本塁打は全てレフト方向とやや引っ張り傾向は強いものの、いずれも打った瞬間に分かる当たりだった。その打球を見ると牧、森下以上にプロでホームランを打てる打者になれる可能性は高いのではないだろうか。 現役で打撃スタイルが似た選手となると中田翔(中日)の名前が挙がる。中田もホームランは基本的にレフト方向が多く、高い弾道の打球が特徴的だ。ホームラン王のタイトル獲得こそないものの、日本ハム時代は広くてフェンスの高い札幌ドームを本拠地としながらも8度のシーズン20本塁打以上を記録した。狭い球場を本拠地としているチームに所属していれば、より多くのホームランを放った可能性は高いだろう。 また西川は今年行われた2つの国際大会の11試合で10打点を記録しているように、ここ一番での勝負強さを備えているところも魅力だ。過去に3度の打点王、5度のシーズン100打点以上を記録した中田のように走者を返す役割を期待できるだろう。 また西川の持ち味として大きいのは、センターをしっかりと守れるという点だ。高校時代はショートで、大学では昨年まで主にレフトを守っていたが、今年はセンターを任されて安定したプレーを見せている。センターを任されて中田のような長打力と勝負強さを備えた選手、というのが目指すべき姿と言えるのではないだろうか。 現在の12球団を見てもセンターのレギュラー候補に苦労しているチームは多く、さらに右の強打者タイプとなれば貴重な存在であることは間違いない。その点も西川の評価が高くなる要因と言えるだろう。果たしてそんな西川を獲得する球団はどこになるのだろうか。運命の日はもうすぐだ。 文●西尾典文 【著者プロフィール】 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。