日銀・黒田総裁会合後の会見1月31日(全文1)景気は緩やかな回復基調
日本銀行の黒田東彦総裁が31日、金融決定会合を受けて午後3時半に記者会見をした。 【中継録画】成長率見通しを上方修正 日銀・黒田総裁が会見 金融決定会合では、経済成長率の見通しを上方修正。2016年度は従来の1.0%から1.4%、17年度は1.3%から1.5%に引き上げた。金融政策は現状維持することが決まった。
本日の決定会合での決定内容と、その理由、展望レポートについて
朝日新聞:幹事社の朝日新聞です。よろしくお願いいたします。まず幹事から3問、ご質問いたします。まず第1問目に本日の決定会合での決定内容と、その理由。また今回、展望レポートの内容についてご説明をお願いいたします。 黒田:はい。本日の決定会合では、長短金利操作、いわゆるイールドカーブ・コントロールの下で、これまでの金融市場調節方針を維持することを賛成多数で決定しました。すなわち、短期金利について日本銀行当座預金のうち、政策金利残高にマイナス0.1%のマイナス金利を適用するとともに、長期金利について10年物国債金利が0%程度で推移するよう長期国債の買い入れを行います。買い入れ額については、おおむね現状程度の買い入れペース、すなわち保有残高の増加額、年間約80兆円をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう、(※判別できず)することとします。また、長期国債以外の資産買い入れに関しては、これまでの買い入れ方針を継続することを賛成多数で決定しました。 本日は展望レポートを決定、公表しましたので、これに沿って先行きの経済・物価見通しと金融政策運営の基本的な考え方について説明いたします。 まず、わが国の景気は緩やかな回復基調を続けています。やや詳しく申し上げますと、海外経済は新興国の一部に弱さが残るものの、緩やかな成長が続いています。そうした下で輸出は持ち直しています。国内需要の面では企業収益が高水準で推移し、業況感も幾分、改善する中で、設備投資は緩やかな増加基調にあります。また雇用・所得環境の着実な改善を背景に個人消費は底堅く推移しているほか、住宅投資も持ち直しを続けています。この間、公共投資は横ばい圏内の動きとなっています。 以上の内外需要の緩やかな増加に加え、在庫調整の進捗を反映して、鉱工業生産は持ち直しています。また、金融環境については極めて緩和した状態にあります。先行きについては、わが国経済は緩やかな拡大に転じていくとみられます。極めて緩和的な金融環境や政府の大型経済対策による財政支出などを背景に、企業、家計の両部門において、所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続する下で、国内需要は増加基調をたどると考えられます。 この間、海外経済については先進国の着実な成長が続き、その好影響の波及や、各国の政策効果によって、新興国経済の回復も次第にしっかりとしたものになっていくと考えられます。このため、海外経済全体としても緩やかに成長率が高まり、わが国の輸出は基調として緩やかに増加するとみられます。 以上の下で、わが国経済は2018年度までの見通し期間を通じて、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられます。実質GDP成長率の見通しを従来の見通しと比べますと、GDP統計の基準改定に伴うGDPの上方修正に加え、海外経済の上振れや為替相場の円安方向への動きを背景に幾分、〓上振れて 00:04:13〓います。 物価面では生鮮食品を除く消費者物価の前年比は0%程度となっています。予想物価上昇率は弱含みの局面が続いています。先行きについては、消費者物価の前年比はエネルギー価格の動きを反映して0%程度から小幅のプラスに転じたあと、マクロ的な需給バランスが改善し、中長期的な予想物価上昇率も高まるにつれて、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられます。今回の物価見通しを従来の見通しと比べますと、おおむね不変です。なお、2%程度に達する時期は見通し期間の終盤である2018年度ころになる可能性が高いと考えられます。 リスクバランスについては、経済、物価ともに下振れリスクのほうが大きいとみています。2%の物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されていますが、なお力強さに欠け、引き続き注意深く点検していく必要があります。なお、展望レポートについては佐藤、木内委員から消費者物価が見通し期間中には2%程度に達しないことを前提とする記述の案が提出され、否決されました。日本銀行は2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続します。また、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続します。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行います。 また今回の決定会合では、貸出増加を支援するための資金供給、成長基盤強化を支援するための資金供給、東日本大震災および熊本地震にかかる被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション等の措置について、受付期間を1年間延長することを決定しました。