日銀・黒田総裁会合後の会見1月31日(全文1)景気は緩やかな回復基調
トランプ政権の政権運営そのものがリスク要因となり得るのかについて
時事通信:時事通信のタカハシと申します。すいません、先ほどの繰り返しの質問にもなりますが、トランプ氏、日本を名指しして貿易赤字に不満なども表明しておりますが、トランプ政権の政権運営そのものがリスク要因となり得るのかという点についてまずお聞かせください。2点目に、展望レポート、このところ為替相場の円安方向の動きが、17年度の価格上昇圧力を高める方向に作用すると指摘しております。マイナス金利、導入を決めてから1年たちますけども、長期的に導入目標も含めて、現在の政策が日米金利差拡大の背景になっているのは間違いないと思います。 金融政策が為替市場のターゲットをしているものではないということは理解しておりますが、結果としてこうした動きも現状政策の効果であると考えますけれども、ご所見をお聞かせください。 黒田:先ほど来申し上げているとおり、トランプ政権の政策全体はまだ新政権発足したばかりですので、今後ともよく見ていく必要があるというふうに思っておりますけれども、一般的に申し上げますと、減税、あるいはインフラ投資等々のマクロ政策面では経済成長を押し上げる方向に向くだろうというふうにみられるわけであります。他方でさまざまな保護主義的な政策というのは、世界貿易を縮小させたり、世界経済の成長を減速させたりする恐れ、懸念があるということではあると思うんですけれども、後者の点については私、前から申し上げているとおり、G7、G20、あるいはWTO、IMF等々で自由貿易の重要性というのは国際的に広く認識されておりますので、世界的に保護主義が非常に大きな、強い形で広がるという可能性は少ないだろうというふうに思っております。 そういった意味で、いずれにせよトランプ政権の政策の、これからの展開というのは十分注視していかなければならないと思ってますけども、現時点では先ほど申し上げたような見方で良いのではないかというふうに思っております。 それから、日本の金融政策はあくまでも物価の安定、具体的には2%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するということを目標にして、目的にして運用されておりまして、為替レートの水準であるとか、為替の安定とかそういったものは目標にしていないわけであります。 為替につきましてはご指摘のように金利格差が、他の2乗にして一定であれば一定の影響を与えるということは理論的に究明されているわけですけれども、為替市場をめぐる要因にはさまざまなものがありますので、日米の金利差だけで為替レートが決まってくるということでは必ずしもないと思います。いずれにいたしましても為替政策につきましては、これは財務省の所管されるところでありますし、私どもとしては単に従来から国際的に合意されている、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいということであるというふうに認識をしております。 【連載】日銀・黒田総裁会合後の会見1月31日 全文2へ続く