「ふざけんな」公共の場で思わず声が出る 脳の中では一体なにが
汚言症より注意すべきは「認知症」
――声が出ないようにするためには、どうしたらいいでしょうか。 吐き出さないから、予期せぬときに「ふざけるな」と口をついてしまう。ですから、たまったストレスを解放するため、むしろ声を出していくべきです。もちろん、TPO(時、時間、場所)に応じてという前提はありますが。 カラオケや友達との雑談でも「王様の耳はロバの耳」のように、一人でこっそり叫ぶのもいい。声を出せるタイミングがあるなら、どんどん出す。内にため込まず外に向けて発散することが、平静を取り戻すための第一歩です。 それができれば、次はストレスの根本に目を向ける。相談者の方の場合は、可能であれば上司と腹を割って話し合うのが一番です。これらを試してみて、それでも汚言などがおさまらないようであれば、かかりつけ医に相談してみるといいかもしれません。 ――チック症やトゥレット症を疑う前に、確認すべきことがありそうです。 今回のケースなら、むしろ心配すべきは認知症です。前頭葉の機能がさらに低下すると「前頭側頭型認知症」といい、日常の営みに支障が出てきます。発症年齢は65歳未満が多く、ほかの認知症に比べて若年性のため「まさか自分が」と受診が遅れる場合も少なくありません。 公共空間で思わず言葉が出てしまうだけにとどまらず、万引きなど反社会的行動をとるようになる、同じ行動や言葉を繰り返すなどの行動面の問題を自覚したり、誰かから指摘されたりするようなら、一度、医者に相談するとよいでしょう。 ――菅原先生、ありがとうございました! 【菅原通仁医師 プロフィール】 1970年埼玉県生まれ。杏林大学を卒業後、クモ膜下出血や脳梗塞といった緊急の脳疾患を専門とし、国立国際医療センター、北原脳神経外科病院にて数多くの緊急医療現場を経験。一人ひとり責任をもって診察するために2015年、東京都の八王子市内で小規模ながら大病院並みの検査機器をそろえた菅原脳神経外科クリニックを開業。「病気になる前にとりくむべき医療がある」との信条で、新しい健康管理方法である予想医学を研究・実践している。 ※この記事は菅原通仁医師の見解に基づいて作成したものです。 ※「主治医が見つかる診療所」より