海水や霧から飲料水を!? 世界の革新的な節水~実践とヒント~
ドイツにおける屋上緑化と壁面緑化
ドイツでは、都市の水管理に対する解決策として、屋上や壁面の緑化を採用しています。その取り組みは1960年代から始まり、1975年にはFLL(屋上緑化のガイドライン)を制定するなど、世界的にみても屋上・壁面緑化のパイオニアです。具体的には緑化により雨水を吸収し、流出水を減らして排水システムの負担を軽減します。また、緑化は断熱効果をもたらし、都市のヒートアイランド現象を緩和し、生物多様性を高める効果もあります。 緑化には初期投資やメンテナンス費がかかりますが、ベルリン市をはじめ、ドイツでは100都市以上で緑化に関しての補助金・助成を実施。10~15年で回収がみこめるとされています。一例として、1983年から1997年には中庭緑化プログラム(Courtyard greening program)を実施。1平方メートルあたり施工費の約半額に相当する37ドルから75ドルが助成され、この期間中に63,500平方メートルの屋上緑化が導入されました。 また「建築物エネルギー法(GEG2020)」や「効率的な建築物のための連邦資金(BEG)」など、建築にまつわる法律と財政支援も手厚い点も特長です。これらのアプローチは、水質を改善することでSDG6を、持続可能な都市環境を促進することでSDG11をサポートしています。
サウジアラビアの海水淡水化プラント
乾燥した気候のサウジアラビアは、水の需要を満たすために海水の淡水化に国をあげて力をいれています。2007年にはわずか2,520万人だった人口が2018年には3,350万人に増加し、飲料水の需要が70%増加したことも水不足の背景にあげられています。そこでサウジアラビアは海水を飲料水に変換する最先端の海水淡水化プラントを導入、2022年からは日本の東レの逆浸透(RO)膜の技術がサウジアラビアのラービグ3海水淡水化プラントで導入されています。ラービグ3海水淡水化プラントは60万m3/日の造水量を誇り、RO膜法としてはサウジアラビア王国で最大であり、世界でも上位に入る大規模プラントです。 海水の淡水化には大きくわけて「蒸発法」と「逆浸透膜法(RO膜法)」がありますが、技術の進歩により、より効率的で環境に優しいものに進化しています。このアプローチは水不足に対処し、清潔な水の確実な供給を確保することでSDG6をサポートしています。