高齢化・老朽化団地の理事長に就任するや鳴りやまない電話! 突然の断水トラブルで住人の団結力が試される【ポンコツ理事長奮闘記3】
断水パニックも担当理事はどこ吹く風であてにならない
さっそくパニック状態に陥った私とは対照的に、Fさんは淡々と「次の一手」を打ち出します。 Fさん「ポンプ室のカギはあるか?」 私「え?!(断水とポンプ室に何の関係が?←全然、分かってない)」 Fさん「理事長のハンコの箱についてたやろ?」 私「ハンコですか? えーっと、ハンコの箱、ハンコの箱……あ、これかな?」 前年度の理事長から引き継いだ一式の中から、小さなプラスチック製の箱を取り出すと、Fさんは慣れた手つきでカギだけを外し、風のように立ち去りました。「ポンプ室の担当は副理事長のEさんや。電話しといて」とだけ言い残して。 Eさんは私に理事長職を押し付けた張本人ですが、なんといっても竣工当時から団地の歴史を知る最長老の理事です。こんなピンチにはさぞかし……と急いで連絡したところ、返ってきたのは「俺は6月からや~」という呑気な返事でした。 すっぴんのまま玄関の外へ出ると、各棟のベランダから複数の男性の声がしています。 「断水や!」 「どないなっとんねん!」 こ、怖い……怒号が飛び交う中、水野も駆けだしました。「ポ、ポ、ポンプ室に、行ってきま~~~す!!!」と震えるポンコツ声を上げながら。
管理会社もあてにならない……
けたたましく非常ベルが鳴り響くポンプ室に着くと、すでに20人近い人だかりが。扉は大きく開けられ、理事以外の住人たちも含め、数人が陣取っていました。集会所担当のB君がひとり大企業並みのガバナンスを発揮。「集会所を開けましたので、皆さんどうぞ中へ!」と声を上げましたが、誰一人集会所に入る人はいません。前へ進むと、操作パネル前の最前列にFさんがいるのが見えました。 水野「Eさんに電話しましたが、俺は6月から、とおっしゃっています」 Fさん「!」 水野「どうしましょうか?」 Fさん「しゃあない。ほっとこう」 断水の原因が分からないため、自治体の水道部に電話してみました。しかし夜の21時では誰も出ません。 次に鳴らしたのが管理会社のフロントマンの携帯電話です。すると、「断水は僕の仕事じゃないので……共用部分の対応をする緊急センターに通報してもらえますか?」と言われてしまいました。 ちょっと待て。営業マンたるもの、こういう困りごとの相談に乗ってこそなんぼじゃないのか? ポンプ室担当理事があてにならないだけでなく、管理会社のフロントマンも役に立たないとは……。喉から出かかった言葉を飲み込んで、現場の対応に戻ります。 緊急センターに通報すると、緊急センターは管理会社の委託先で連携を図るコールセンターのようなもの。実際に調査にあたる水道業者は管理会社の下請けで遠方にあることが分かりました。 「こちらに到着するのは2時間後だそうです!」 「2時間……(絶句)」 てっきり近くの業者がすぐに来ると思っていたベテラン住人たちは一様に驚いています。
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