【2024年最新】任意継続と国民健康保険ではどっちがお得?退職後に選ぶべき健康保険を解説
【法改正】健康保険組合の上限撤廃が可能に
退職後の健康保険の加入先を慎重に検討しなければいけないもう一つの理由として「健康保険組合の標準報酬月額の上限撤廃」があります。 健康保険組合は、健康保険に関する事業を提供してくれる公的な法人です。特定の業種や企業の人が加入します。 従来は、保険料を算定するための標準報酬月額に上限額が設けられていたため、給料を多く受け取っている人でも、ある程度保険料を抑えることができました。 しかし、令和4年1月から健康保険法が改正され、健康保険組合が規定する標準報酬月額に保険料率を掛けて、保険料を徴収することができるようになったのです。 これにより、退職前の給料額が多い人は、給料額に応じて標準報酬月額が決まるため、納付する保険料が高くなる可能性があります。 所得額によっては、国民健康保険に加入したほうがお得な場合もあるため「損をしない健康保険の加入の仕方」を知っておく必要があるのです。 では、国民健康保険と任意継続とでは、結局どちらを選ぶほうがお得なのでしょうか。次章で、それぞれの健康保険に適した人を解説します。
結局どちらを選ぶのが得なのか
国民健康保険と任意継続のどちらがお得になるかは、人によって異なります。 国民健康保険を選んだほうがお得な人と、任意継続を選んだほうがお得な人について、確かめてみましょう。 ●国民健康保険を選んだ方がお得な人 国民健康保険を選んだほうがお得な人は、以下に当てはまる人です。 ・減免を受けたい人 ・所得が低い人 国民健康保険では、所得状況に応じて減免を受けられる場合があります。たとえば、東京都中央区では、所得金額に応じて、保険料が以下のとおり減免されます。 ・7割減免:世帯主と加入者全員の総所得金額等の合計が43万円+(給与所得者等の数-1)×10万円以下 ・5割減免:世帯主と加入者全員の総所得金額等の合計が43万円+(給与所得者等の数-1)×10万円+(29万円×被保険者数)以下 ・2割減免:世帯主と加入者全員の総所得金額等の合計が43万円+(給与所得者等の数-1)×10万円+(53.5万円×被保険者数)以下 国民健康保険の減免割合は自治体ごとに異なりますが、所得が低い場合は保険料負担が減るためお得です。 任意継続は減免制度がないため、2年間指定の保険料を支払続けなければなりません。収入状況が毎年変化する人は、国民健康保険に加入して減免を受けると、納める保険料が減り家計の負担が和らぎます。 ●任意継続を選んだ方がお得な人 任意継続を選んだほうがお得な人は、以下に当てはまる人です。 ・扶養親族がいる人 ・社会保険の福利厚生を受けたい人 任意継続は、それまで会社で加入していた社会保険を継続して適用するため、扶養親族も引き続き健康保険に加入し続けられます。国民健康保険では扶養の概念がないため、被保険者1人に対して必ず保険料納付の義務が発生します。しかし、任意継続では扶養親族もまとめて元職場の社会保険に加入し続けられるため、家計全体での保険料負担を抑えられるのです。 また、社会保険の福利厚生を引き続き受けたい人にも、任意継続がおすすめです。任意継続では、法定外の福利厚生も継続して受けられます。たとえば、以下のようなものは任意継続であれば引き続き受けられます。 ・健康診断や人間ドックの費用補助 ・レジャー施設や宿泊施設の利用補助 これまで会社の福利厚生を有効活用していた人にとっては、非常にお得なものといえるでしょう。ただし、任意継続の場合は出産手当金や傷病手当金の給付は受けられません。