銀メダル鍵山と銅メダル宇野は4年後のミラノ/コルティナ・ダンペッツォ五輪で“打倒”ネイサン・チェンを果たすことができるのか?
英ガーディアン紙も「ネイサンに最も近かったライバルはショートプログラムで5.85点差を追い、グラディエーターからのハンス・ジマーの楽曲で見事に滑った18歳の鍵山だったが、得点でネイサンへのプレッシャーを積み上げることができなかった。銀メダルを勝ち取った10代選手(の鍵山)は、この62年で上位2位に入った最も若い男子フィギュア選手として横浜に戻る」と評価した。 だが、現状のままでは、どうしてもネイサンに勝てない理由がある。4回転ジャンプが1本少ないことで生まれる技術点の差だ。今回はフリーの技術点だけで13.42点(そのうち基礎点が5.99点)も開いた。 中庭氏はネイサン超えに必要なものをこう指摘する。 「4回転が3種類4本では金メダルを取れないことをチェン選手が示しました。ルッツ、フリップ、ループのうち2種類を跳べることがネイサン選手に勝つための条件になるでしょう。鍵山選手は、この4年間で、もう1種類の4回転ジャンプを完全に取得し、基礎点を上げることが必要になります。今回、五輪のプログラムに4回転ループを投入しましたが、練習で4回転ルッツを成功させたのを見たことがあります。これが今のプログラムに加われば、約7点基礎点がアップします。それでもチェン選手の基礎点には足りませんが、鍵山選手のジャンプの質を考えればGOE加点でヒケを取らない点数になる可能性があります。そして演技構成点をどこまで伸ばすか。まだ表現力という面でも勝てていませんが、ここはキャリアが必要な部分でもあり、課題でありノビシロになります。鍵山選手の五輪での急成長の姿を見ると期待が高まります」 鍵山が北京五輪の舞台で見せた「成長力と安定度」があれば、4年後には5本の4回転ジャンプを取得していてもおかしくないのかもしれない。 鍵山は、「もっともっとオールラウンダーに近づいていけるような、今回優勝したネイサン・チェン選手もそうですが、羽生結弦選手、宇野選手みたいに演技もステップもいろんな部分が評価される選手になりたい」と語り、宇野は「この構成、この練習を間違いなく、あと数年続けていけば、もっともっとレベルが上がって、今のネイサンの位置で戦うことも可能だと思う。今できていることに満足せず新たな挑戦もしていきたい」と、4年後へ向けての誓いを口にしている。