2代目オリンピック女王は14歳の吉沢恋、銀メダルには赤間凛音とやはり強かった日本勢!「パリ2024オリンピック」スケートボード・女子ストリート種目
大会結果
1位 : 吉沢恋(日本)272.75pt 2位 : 赤間凛音(日本)265.95pt 3位 : ライッサ・レアウ(ブラジル)253.37pt 4位 : チェンシー・チー(中国)241.56pt 5位 : ポエ・ピンソン(アメリカ合衆国)222.34pt 6位 : ペイジ・ハイン(アメリカ合衆国)163.23pt 7位 : 中山楓奈(日本)79.77pt 8位 : クロエ・コベル(オーストラリア)70.33pt
最後に
パリオリンピック最終予選となったOQS2024の勢いそのままに金メダリストとなった吉沢は終始安定した滑りを見せての初挑戦で頂点に立った。一方で独自のトリックチョイスとセンスで惜しくも銀メダリストとなった赤間も非常に紙一重の戦いだった。 明暗を分けたのは「メンタル」だったように感じた。当然プレッシャーはあったと思うが、終始本人も公言していた「楽しむ」ということに徹していた吉沢とメンタルでは非常に強い印象の赤間が4トライ目で少し動揺が見えたその差がメダルの色を分けたのではと推測する。本当に紙一重だった。 Text by CURRENT ライッサもこれまでは一度崩れると大会中ではなかなか立て直せない傾向にあったが今大会ではしっかりプレイスメントを意識した戦い方で見事2大会連続のメダル獲得となった。 クロエも同様ランで掴めなかった流れを再び引き戻すことはできず8位で今大会を終えた。一方で古豪アメリカ勢は今後の兆しを見せる5位と6位へランクイン。ペイジは次大会も非常に楽しみな存在だ。またポエは終始自身のスケートボード感を貫き通して結果的にも決勝に進む、スケートボード本来の姿で評価を得ていたように感じた。 ライッサ同様2大会連続メダルが期待された日本の中山もランでは良いポジションにつけたがトリックセクションではスコアを残すことができず7位で2回目のオリンピックを終えた。 最終予選からパリオリンピック本戦で話題として欠かすことのできないのが中国勢の存在だ。再三言っているがスケートボード歴約3年でオリンピック4位になったチェンシー。 他にも後一歩で決勝進出を逃した13歳のシュなど新世代の活躍は今後の世界での勢力図を大きく動かしてくるだろう。また12歳で最年少出場となったタイのスカセムなどアジア全体のレベルが日本だけでなく非常に上がっているので、今後はブラジル、アメリカ、ヨーロッパ勢などがどのようにこの「アジア強国」時代をひっくり返しにくるかも楽しみだ。 そして何よりオリンピックとして、スケートボード競技では初めての有観客開催となった。予選からスタンド席は超満員でライダーの1トリック1トリックに大きな歓声が上がりこれも本来のスケートボードの良さではないだろうか。さらには国を超えて他国のライダーにもトリックを決めると大歓声が起き、ライダーもそれに応える。まさに会場が一体感となっていた。 ルール面では「ラン」がスコアのマスト採用となり、東京オリンピックでは「ラン」でスコアメイク出来なくても「トリック」セクションでの逆転の可能性があったため最後の最後まで諦めないライダーも多く、観ている人たち(無観客なので視聴者)も最後まで逆転の可能性に手に汗握る展開だった。 一方で今回のパリオリンピックでは「ラン」でフルメイク出来なかったライダーは相手のミス待ちという傾向のため、「ラン」をフルメイクしたライダーが序盤のトリック2トライでスコアを揃えてしまうとモチベーションを維持するのが難しくなっっているように感じた。 これにより「ラン」の時点でのある程度の順位が見えてしまうレギュレーションは筆者としては少し物足りなく感じてしまった。ただそれだけシビアに正確性と技術が要求されるためレベル自体は非常に上がっていることは間違いない。 東京オリンピックからパリオリンピックでルール変更が行われた。 今後これらのルール改正がどのように行われるかも非常に注目要素である。 そして、目まぐるしく世界のトップ争いが変わる女子ストリート。 新たなオリンピック女王となった吉沢恋も一転終われる立場になったことでまだまだ上手くなる要素だらけだ。 4年に一度のオリンピックは一旦幕を閉じたがスケートボード女子ストリートの戦いはまだまだこれからも続いていく。
FINEPLAY
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