世界レベルのプレーや試合のイベント化に注目 10月開幕バレーボールの「大同生命SV.LEAGUE」 ~山本隆弘氏インタビュー~
――チームの成績とは別に「このクラブのホームゲームは楽しい」という空間作りの面での評価も重要になってきますね。ところで、チケット代が上がるという話を聞いていますが?
各クラブがチケット代を昨季より高く設定していると思いますが、それは、収益事業として成り立たなければいけないからです。今までどおりだと、あまり高くないチケットで平均観客数が2000人程度。一番多く入った試合でも8900人くらいというところで、難しいと思います。ただし、もちろん金額が上がった分、お客さんの満足度が高くならなければいけません。一つの例として、6月に福岡県で国際大会のネーションズリーグを開催した際、日本代表の試合では、最高で1席15万円のエキサイトシートを販売しましたが、完売しましたし、好評でした。ただ試合を観戦しやすい位置で見るだけでなく、飲食が可能なラウンジを利用できたり、試合前の選手を見送るためのエリアや、より近くで応援できるチアゾーンへの入場を可能にしたサービスが付いているものでした。各クラブが、どのようなサービスを提供していくかという点も、楽しみなところです。
――運営面で、各クラブの自立が加速するのですね。バレーボールに限らず、実業団形式の場合、親会社の都合で急に廃部になることが、珍しくありません。地域に密着して自立すれば、スポンサーが入れ替わることはあっても、クラブは存続できますね
まさに、昨季までV2リーグに参戦していた大分三好ヴァイセアドラーが、一例に挙げられます。チーム創設者でチーム運営を支えていたオーナー兼部長の三好博さんが亡くなられて、休部となってしまいました。各クラブもそうですが、SV.LEAGUE全体でも、しっかりとした運営の土台を作っていかなければいけないと思っています。
――コート上での競技面に関しては、どのような変化が生まれますか
外国籍選手のオンザコート起用枠が増えるので、よりハイレベルな競争が実現すると思います。昨季までのV1リーグは、外国籍選手1名とアジア枠1名でしたが、今季のSV.LEAGUEは、外国籍選手2名とアジア枠1名が同時にコートに立つことができるので、見る人に、よりレベルの高いプレーを届けられるのではないかと思います。日本に来る外国籍選手のレベルは、非常に高いです。例えば、男子の優勝候補の一つであるサントリーサンバーズ大阪は、世界ランク1位のポーランドでエースとして活躍するアレクサンドル シリフカ選手が加入しました。日本のエースである高橋藍選手と、世界屈指のアウトサイドヒッターが対角に入る組み合わせは、世界選抜と呼んでもおかしくないくらい豪華です。その上、オポジット(トスを上げるセッターの対角に入る、攻撃中心のポジション)に、ムセルスキー ドミトリーというロシアのミドルプレーヤーも残っているので、強力な攻撃が期待できます。ライバルとなる大阪ブルテオン、ジェイテクトSTINGS愛知もかなり戦力補強を進めているので、世界で見てもレベルの高い試合が展開されるのではないかと思います。