血糖値の急上昇が「脳の働きを鈍らせる」 簡単にできる低GI食の3つのポイント
脳にとって理想の朝食は 「タンパク質+炭水化物」
低GI食をより効果的に取り入れるなら、朝食に何を食べるかがとても重要です。先ほど夕食に高GI食を摂ると翌日の仕事の効率が下がると述べましたが、実は朝食の内容も次の日のパフォーマンスを左右します。その理由は、朝食が夜の睡眠に大きく関わっているからです。 朝食で、タンパク質に含まれるトリプトファンというアミノ酸を摂ると、脳内でセロトニンという物質が作られます。セロトニンは夜になると「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンに変化し、体温が下がってぐっすり眠れます。すると脳が休息して翌日に備えられるので、次の朝から脳が元気に働くのです。 ただしトリプトファンは糖質を同時に摂らないと脳に届かず、セロトニンも分泌されないので、朝食では肉や魚、乳製品や大豆製品などのタンパク質と炭水化物を一緒に摂るのがポイントです。玄米ご飯に焼き魚や卵焼き、味噌汁、納豆などを組み合わせた昔ながらの和食は理想的ですし、洋食なら全粒粉のパンやオートミールを牛乳やヨーグルトと一緒に摂るといいでしょう。 これはちょっとした裏技になりますが、朝食に牛乳を1杯飲むと、その日は何を食べても低GI食になります。これは乳製品に含まれるカゼインというタンパク質が腸内に膜を張り、糖質の吸収を抑えてくれるためです。その効果は1日中続くので、昼や夜に高GI食を摂っても血糖値が上がりにくくなります。朝にコーヒーを飲むときも、牛乳を加えることで同じ効果が得られます。
夜まで頑張りたいときは夕方に間食を摂る
昼食から夕食までは時間が空くことが多いので、夕方頃になると空腹で集中力が切れてしまう人もいるでしょう。そんなときは積極的に間食を摂り、脳にエネルギーを補充してください。 間食も健康によくないイメージがあるかもしれませんが、脳科学的に見るとむしろ大きなメリットがあります。時間栄養学の第一人者である早稲田大学の柴田重信教授が行なった実験によると、「①間食を摂らない」「②ようかんを17時半頃に食べる」「③ようかんを夕食後に食べる」の3グループを比較したところ、②だけが血糖値が抑えられるという結果になりました。 これは食物繊維の多い豆類を原料とするようかんを夕食前に摂ったことによる効果と考えられます。なお、①は夕食時に一気に血糖値が上がり、③は夕食後さらに血糖値が上がって、その状態が就寝前まで続きました。 よって空腹を我慢せずに間食を摂れば、夕方以降も集中力が持続して仕事が捗ると同時に、夕食後に血糖値スパイクを引き起こす心配もなくなります。間食は大豆の焼き菓子やナッツ類、みかんなど、食物繊維が豊富な低GI食を選んでください。 中でもお勧めは高カカオチョコレート。カカオポリフェノールを多く含むチョコレートを食べると、脳の活発な働きを支えるBDNFという物質が増えることが実験で確認されており、集中力や記憶力を改善させる効果が期待できます。 皆さんもうまく低GI食を取り入れて、仕事のパフォーマンスをアップさせてください。
西剛志(脳科学者)