血糖値の急上昇が「脳の働きを鈍らせる」 簡単にできる低GI食の3つのポイント
糖質を摂り過ぎると、血糖値が急激に上がったり下がったりする「血糖値スパイク」が起こる。この状態になると脳がエネルギー不足になり、集中力や記憶力が低下するなどの悪影響を引き起こすのだ。脳科学者の西剛志氏は、血糖値をゆっくりと上げて、脳に安定してエネルギーを供給する「低GI食」を摂ることが大切だと語る。(取材・構成:塚田有香) 【脳のパフォーマンスを高めるお勧め朝食メニュー】 ※本稿は、『THE21』2024年12月号特集「「脳」と「心」のトリセツ」より、内容を一部抜粋・再編集したものです。
ご飯に納豆をかければGI値が下がる
食品のGI値については、インターネット上でも様々な研究機関や企業が一覧表や比較表を公開していますが、食事のたびに検索してどれが低GI食かを確認するのは面倒に思う人も多いでしょう。そこでGI値が高い食品と低い食品を見分けるポイントを3つ紹介します。 ①甘すぎるものは要注意 ②炭水化物は白い食べ物より黒い食べ物を選ぶ ③食物繊維が多いものを選ぶ まずはこの3つを意識することから始めましょう。口に残る甘さのほとんどはブドウ糖に由来するため、砂糖を多く含む食品はなるべく避けます。「白い食べ物より黒い食べ物」とは、白米より玄米、白い食パンより茶色のライ麦パンや全粒粉パン、うどんより蕎麦を選ぶということ。精製されていない、色がついた炭水化物は、糖の吸収を穏やかにする食物繊維を多く含むため、血糖値の上昇が緩やかになります。3つめも同じ理由です。 加えて肉や魚、乳製品も、糖質がそれほど含まれない低GI食であることを頭に入れておくといいでしょう。例えばピザは健康に悪そうなイメージがあるかもしれませんが、低GI食である乳製品のチーズと食物繊維が多い野菜を具材に使ったものなら、GI値は低めです。 また単独ではGI値が高い炭水化物も、組み合わせを工夫することで低Gi食に変えられます。白いご飯は高GI食ですが、食物繊維を多く含む納豆をかけるとGI値が有意に下がります。 食べる順番によってもGI値を抑えることが可能で、野菜スティックを食べてからうどんを食べるなど、最初に野菜を食べる「ベジファースト」によって血糖値スパイクを防げることがわかっています。あるいは肉や魚を炭水化物より前に食べるだけでも、血糖値の急上昇を抑えられます。 一方、脳にいいからといって、低GI食しか口にしないとか、毎日ずっと続けなければいけないと考える必要はありません。我慢ばかりだとストレスが溜まり、脳にとって逆効果です。ストレスは脳の老化を促進することが研究で明らかになっていて、低GI食を実践しても効果が相殺されてしまいます。 どうしても白いご飯やうどんが食べたいときは、先ほど紹介したような工夫をして、好きなものを楽しみながらGI値を下げるといいでしょう。また自分へのご褒美として、週に何度か高GI食の日を決めておくのもいいと思います。大事な仕事がある日や集中力を高めたい場面など、ここぞというときに脳が最大限のパフォーマンスを発揮できるように、低GI食は無理なく上手に取り入れることが大切です。