どうなる?!3.19・京都「矢吹VS拳四朗」のWBC再戦…早くも故意バッティング騒動を巡り遺恨の“場外前哨戦”が勃発
もっとも会見では両陣営とも冷静な立ち振る舞いをしたが、心中穏やかではなかったのが、矢吹陣営の松尾敏郎会長だ。 死闘とも激闘とも称えられた一戦にもかかわらず、寺地サイドから、「目の上のカットはパンチによるものではなく故意バッティングによるものではなかったか。見解を聞きたい」とのクレームが入りJBCに質問状を提出。JBCの再検証をもとにWBCから再戦指令が出た。JBCの再検証結果は、「故意バッティングではなく偶然のバッティングによるもの」というものだったにもかかわらず、その後も寺地陣営が発言の撤回をしていないことから遺恨がまだくすぶっていた。 「会見で聞かれなかったので言えなかったが、マイクを持って、あの場で”撤回してください”と言おうと思ったぐらいです。年間最高試合と言われるぐらいだったのに試合直後ではなく、数日たってからバッティングではないかと言われても、それはおかしいでしょ。いがみ合ってるんじゃないけれど、あの発言は撤回してもらいたい」 9月の一戦では、矢吹が圧倒的不利の下馬評を覆し、前半から積極的に仕掛け、ポイントをリードした。これが寺地の焦りと動揺を呼び、後半は両者の意地とプライドが絡み、生死をかけたかのような流血戦へ。10回に勝負をかけた寺地が最後にスタミナが切れ、そこに襲いかかった矢吹がレフェリーストップで王座をつかみ取った。 「選手を守る立場として引くわけにはいきません」 松尾会長が怒るのも無理はなかった。 矢吹も“故意バッティング問題”については納得できないものがある。 「採点は僕の方が取っていた。バッティングではないかという件に関してSNSなどの見解にはむかついたが、ルールの中で戦っていたもの。もし、それがダメなら減点されていたはず」 一方の拳四朗陣営も“故意バッティング”に対しては警戒していた。拳四朗も、「もっと(バッティングだと)アピールしようと思う。いままで、そんなの格好悪いと思っていてアピールするぐらいなら手を出せよ、と思っていましたが、今度はアピールする。ルールミーティングでも、そのあたりを伝えてもらいます」と言う。 “故意バッティング騒動”を巡って場外で早くも遺恨マッチの前哨戦が勃発したが、会見終了後、松尾会長が、拳四朗の父でもある寺地永会長、今回の試合をプロモートする真正ジムの山下正人会長と、別のフロアのソファに座って緊急会談。最終的には、この世界戦にかかわるトップ3人が握手した。 松尾会長は「寺地会長も言い過ぎたことを認めてくれた。矢吹の話も聞いてくれ理解してくれた。これでスッキリして名古屋に帰れる」と会談の内容を明かし、リマッチについては「今度は寺地がより出てくるだろうから、もっといい試合になる」と話した。 防衛か、奪回か。因縁マッチが再び“魂の戦い”になることは間違いない。 王者の矢吹が、「注目度は高まっているし、向こうの弱い部分は分かっているので、そこをついていくだけ。前回も難しい試合だった。今回も神風を吹かせたい」と言えば、寺地会長も「前回は向こうが良く研究していて、こっちは少しなめていたところもあった。今回は違いますよ」と拳四朗の気持ちを代弁した。 関西でも猛威をふるう新型コロナ「オミクロン株」の動向が気になるが、山下会長によると「現時点では100%観客を入れる予定」とのこと。運命のゴングが待ち遠しい。 (文責・山本智行/スポーツライター)